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昼食注文で「先手」

続編・将棋めし

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 今回はスタート時にご紹介し、反響をいただいた「将棋めし」の続編です。少し歴史を振り返ってみても、対局中の食事を巡る話は棋士の個性が出るというか、味わい深いというか……。数々の対局を取材してきたベテランが、舞台裏のエピソードを紹介します。

◇駆け引き

 対局中の食事は棋士の楽しみの一つなのですが、勝負に直結したと言われたこともあります。1998年、竜王だった谷川浩司九段(59)に藤井猛九段(50)が挑戦した竜王戦七番勝負でのことです。当時は海外対局もあって、第1局の舞台はニューヨーク。“事件”が起きたのは2日目の昼食前でした。

藤井猛九段
藤井猛九段

 2人には日系ホテルのレストランのメニュー表が渡されました。谷川九段が「長考」を続けるうち、藤井九段が突然、「『ごちそう弁当』でお願いします」と告げたのです。場が凍りました。序列を重んじる将棋界では、この場なら竜王が先に注文するのが慣例。それを破る事態でした。

 肉類や揚げ物などが満載で、ボリュームのありそうなメニューはこれぐらい。長期戦になりそうな局面となり、腹持ちのいい食事で長い夜に備える作戦でした。ご本人いわく、「相手の後に同じメニューを注文すると気合負けする。失礼を承知で勝負に徹したんです」。谷川九段は「ステーキ定食」を頼みましたが、豪華さでは「ごちそう弁当」に及びません。

 藤井九段はその勢いで4連勝し、竜王を奪取。関係者の間では「食事の駆け引きで流れを引き寄せた」と今も語り継がれています。

◇朝食はふぐ

 2011年に福島市で行われた竜王戦第4局では、挑戦者の丸山忠久九段(50)が2日目の朝食に「ふぐちり膳」=写真、竜王戦中継サイトから=を注文して周囲を驚かせました。筋トレに励み、唐揚げ定食に唐揚げ3個追加を頼むことでも知られる大食漢。「もし可能なら、本当に可能なら、なんですが……」と低姿勢で依頼し、旅館側が応えてくれたそうです。

丸山忠久九段
丸山忠久九段
ふぐちり膳
ふぐちり膳

 

 朝からエネルギーを補強したものの、その日は敗戦。シリーズも1勝4敗に終わり、ふぐちりパワーは残念ながら不発でした。

 現在、3タイトルを保持する渡辺明名人(37)にも、食事を巡るほほ笑ましいエピソードがあります。羽生善治九段(50)にタイトル戦で挑戦し始めた20歳ぐらいの頃は、「自分の方が格下なので」と羽生九段よりも高い料理、同じ料理は頼みませんでした。

渡辺明名人
渡辺明名人

 羽生九段が最安値の品を選ぶと大変です。「盛りそば」を注文した時は、焦ってメニュー表を何度もめくり、何とか近い値の品を選んだそうです。多少高くてもいいとは思うのですが、サラリーマンの社会でもありそうな話。最近ではあまり見られない光景かもしれませんね。(西條耕一)

 ◎次回は7月1日に掲載予定です。読売新聞大阪本社文化部「観る将のギモン」係にメール(o-bunka@yomiuri.com)で疑問を受け付けています。

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2114874 0 観る将のギモン 2021/06/10 15:00:00 2021/06/10 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210610-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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