生きるとは何か探し続ける

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 前々回、難病の筋萎縮いしゅく性側索硬化症(ALS)について取り上げたところ、メールや手紙、LINEラインでたくさんのご意見が寄せられました。

 全身の筋肉が徐々に動かなくなるALS。治療法は見つかっておらず、患者や家族らは、「生きるとは何か」という問いを突きつけられます。

 今夏に京都で発覚した嘱託殺人事件では、殺害されたALS患者の女性がSNSで死を望む思いを発信していたこともあり、ネット上で様々な意見が飛び交いました。「もし自分や大切な人が発症したら」。みなさんも一度は考えたのではないでしょうか。

ご主人との思い出が詰まった鹿児島旅行の写真を見る寺西さん
ご主人との思い出が詰まった鹿児島旅行の写真を見る寺西さん

 <何度も子どもたちと話しました>。そうLINEを送ってくれたのは大阪市平野区のyoshiさん(46)。3人の子を持つ母親です。事件について、医療の道を目指す長男(22)と長女(19)の意見は分かれました。

 「生きるための希望を与えるのが医師だ」と熱く語る長男に対し、「本人の意思を尊重することが大事だと思う」と長女。yoshiさんは「もし自分がALSになれば家族に迷惑をかけたくない」と思う一方、家族がその立場になったらと思うと、答えが出なくなったそうです。

 「正解はわかりません。でも、真剣に命と向き合う子どもたちを、これからも見守っていきます」と話します。

 <ALSの主人をみて、生きることを考えさせられました>。堺市の寺西和子さん(73)(仮名)からは便箋4枚にわたる手紙が届きました。

 今年7月に78歳で亡くなったご主人がALSと診断を受けたのは4年前。悩む姿を見ていられず、「こんなに苦しむんだったら、楽になる薬はないんですか」と医師に迫ったこともあったといいます。

 そんな日々の中で支えになったのが同じ患者や家族たちです。介護スタッフに勧められ、交流会に参加。悩んでいるのは自分たちだけではない。そう思えるだけで気持ちが楽になったそうです。

 自宅にお邪魔すると、たくさんの写真を見せてくれました。昨年、車いすを使い、ご主人の故郷の鹿児島に2人で旅行したそうです。寺西さんの隣で写真に納まるご主人の表情は本当に穏やかでした。

 最後まで「ありがとう」と周囲への感謝を述べていたというご主人。「人は支えられて生きている。そう思うようになりました」。思い出の写真を手に、寺西さんはかみしめるように話していました。

 多くのALS患者を診療してきた医師で、僧侶でもある大阪市住吉区の岸上仁さん(44)に話を聞きました。

 岸上さんは患者と向き合ううち、医療だけで治せないものがあると、30歳を過ぎてから仏教を学びました。そして、「患者の思いを否定せず、言葉にできない思いを聞くのが役割」と考えるようになりました。その中で、患者とともに「生きる道」が見つけられるかもしれないと言います。

 私もこれまで取材で何度も答えがない問いにぶつかってきました。それでも、当事者の思いを聞きながら、答えを探し続けたいと思っています。

 【今回の担当は】上田友也(うえた・ともや) 最近、ALS研究を支援する「せりか基金」のチャリティーTシャツを購入し、愛用している。40歳。

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1644580 0 言わせて 聞かせて 2020/11/22 05:00:00 2020/11/22 10:01:33 2020/11/22 10:01:33 鹿児島旅行の写真を見ながら、夫との思い出を語る寺西さん(堺市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201121-OYTAI50018-T.jpg?type=thumbnail

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