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新神戸駅で昨年行われたアプリ「shikAI」の実証実験(JR西日本提供)
新神戸駅で昨年行われたアプリ「shikAI」の実証実験(JR西日本提供)

 4月25日の当欄で、目と耳が不自由な「盲ろう」の女性が、スーパーのセルフサービスの精算機に不便を感じているという話を紹介しました。

 記事には様々な感想が寄せられ、その中で「買い物は他の人にしてもらった方がいい」という意見もありました。

 コロナ禍で外出自粛が求められる今ではうなずける考え方です。でも、わずかに目が見え、補聴器で会話もできるその女性は、周囲に支えられながらも、自分のことはできるだけ自分でしたいと考えているそうです。いつでも買い物を頼める人がいるわけでもありません。

 障害者は助けられるだけの存在なのでしょうか。

 <これからどんな世の中になっていくのか不安です>

 メールで記事への感想を寄せてくれた岡山県の障害者施設で働く聖子さん(50)(仮名)も、セルフ精算機に苦い思い出があります。

 施設には約15人の知的障害者らが通い、軽作業に従事しています。2年前、通所者らとスーパーに出かけた際、レジに大行列ができたことがありました。通所者が精算機の使い方がわからず、立ち往生していたからです。店員も気づかず、行列の中にも助けてくれる人はいませんでした。

 聖子さんは「自分で欲しい物を買えた喜びは、自立の一歩になる」と考えています。でも精算機の一件から、買い物に臆病になった通所者もいるそうです。

 聖子さんは「『自分で何かをしたい』という思いは誰にでもある。自立しようとする障害者に目を向ける社会であってほしい」と訴えます。

 全国スーパーマーケット協会の昨年の調査では、加盟各社のセルフ精算機の設置率は15・8%で、前年より4・4ポイント増加しました。

 精算機に限らず、人手不足と技術の進歩で様々な業界で無人化が進み、その流れはコロナ禍で加速しています。でも、それによって不便を強いられる人もいます。

 改善するには当事者が問題点を指摘するしかありませんが、最近はネット上に「わがままだ」などと批判が書き込まれることもあります。声を上げにくい社会になっているのではないでしょうか。

 今年1月、東京で障害者の自立を後押しする取り組みが始まりました。

 東京メトロの9駅で、視覚障害者にスマートフォンで駅から目的地までを音声案内するサービスで、アプリで駅構内の点字ブロックに向けるとQRコードを読み取って「この先階段が10段あります」などと教えてくれます。

 アプリの名前は「shikAI(視界)」。昨年、JR新神戸駅で実証実験が行われ、関西での導入も検討されています。開発した「リンクス」(東京)の田中尚行さんは「目が見えない人でも自由に出かけられる世の中になってほしい」と期待を込めます。

 障害者を助けられるだけの存在と考えることは、当事者の自立を阻み、傷つけます。

 声に耳を傾け、そっと背中を押す。そんな支援が必要なのではないかと考えています。

 【今回の担当は】浅野友美(あさの・ともみ) 大阪市を担当。飼い主に捨てられるなどした犬や猫の保護活動に関する記事も書いてきた。

 身近な疑問や困り事、記事への感想や意見を寄せてください

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2104277 0 言わせて 聞かせて 2021/06/06 05:00:00 2021/06/06 05:00:00 2021/06/06 05:00:00 アプリ「shikAI」を使って駅を歩く障害者(リンクス提供) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210605-OYTAI50014-T.jpg?type=thumbnail

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