社長「解決済み」強調…関西電力側に金品
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関西電力の経営幹部らに、原発が立地する町の元幹部から多額の金品が渡っていた。岩根茂樹社長は27日に開いた緊急記者会見で、福井県高浜町の元助役・森山栄治氏(故人)から幹部らが受け取った金品について「詳細を控える」とあいまいな返答を連発。具体的な説明を避け続け、全容の解明には程遠い内容だった。
「修正申告して納税もした」「(金品は)すでに返却し、社内処分も行った」
記者会見の冒頭、岩根氏は用意した文書を読み上げ、問題が「解決済み」であることを重ねて強調した。
しかし、金品の授受の具体的な内容や対象者に質問が及ぶと、「20人に総額3・2億円」という大枠を示しただけで、「個人にかかわるので、回答は控える」の一点張り。金品を返却した時期や金額についても、最後まで明言しなかった。
岩根氏自身も、社長就任祝いとして「儀礼の範囲を超える」物品を受け取ったことは認めたが、具体的な内容については説明しなかった。
金品が原発関連事業の「見返り」だったのか、という質問も集中したが、「対価的な行為はない」と否定した上で、「(森山氏が)なぜそういうことをされたのか、本人に聞かないとわからない」と言葉を濁した。
社内調査を昨年9月に終えたにもかかわらず公表しなかった理由については、「不適切と判断していたが、違法な行為ではなかった」と釈明。調査報告書の公表も「現段階では考えていない」と否定し、取締役会に調査内容を報告したかどうかも回答を拒んだ。
社内処分も、八木誠会長と岩根氏の「報酬返上」と説明しただけで、他の処分対象者や処分内容は明らかにしなかった。
■社長会見一問一答
関西電力の岩根茂樹社長の記者会見での主なやり取りは、次の通り。
――受け取った20人に対する金品の名目や内容は。
中元や歳暮、就任祝いなど様々な名目だった。個人口座への振り込みはない。詳細は差し控える。
――関電の資金が還流したとの認識は。
見返りとなるような対価的な行為はなく、関係企業に対する発注プロセスについても、社内ルールに基づき適切に実施していた。
――幹部や社員が受け取りを拒まなかった理由は。
(森山氏は)地元の有力者でお世話になっていた。返却を申し入れたが、先方に厳しい態度で拒まれた。関係悪化を恐れて、いったん預かり、返せるときに返そうという判断をした。
――社長個人の場合はどうだったのか。
社長就任のお祝いで来られ、最後に手荷物をいただいた。せっかくのことなので受け取ってあとで見ると非常に高額なので、返すすべを考えていた。
――社長、会長に辞任の考えは。
会社として厳粛に受け止め、すでに関係者の処分を行っている。今後とも再発防止策を確実に実施していくことで経営責任を果たしていきたい。
――原発施策への不信感を招くのでは。
コンプライアンス最優先の企業文化を築いて信頼を回復していきたい。