大阪都構想ファクトチェック…賛成派「消防車到着早く」、反対派「水道料金値上げ」→両方誤り

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 「大阪都構想」の賛否を問う住民投票では11月1日の投開票に向け、賛成、反対両派の訴えが熱を帯びている。街頭演説やビラなど、都構想に関する主張は、メリットやデメリットを一方的に伝えがちだ。双方の発信内容が客観的事実に基づいているのか、ファクトチェック(真偽検証)する。

管轄変わらず

都構想に関し、様々な主張をするチラシやパンフレット
都構想に関し、様々な主張をするチラシやパンフレット

 Q特別区になると、消防車の到着時間は早くなるの?

 A早くなります。消防本部からの指令が一元化されるため、現場に近い消防署が対応します。

 これは、都構想賛成派のチラシに記された内容だ。

 現在、大阪市内の消防や救急業務は市消防局が担う。市消防局の指令情報センター(西区)は119番を受けると、災害規模を検討し、市内89か所の消防署や出張所などから現場に最も近いところに指令を出して出動させる。

 大阪市が廃止され、4特別区が新設されると、市消防局の職員約3500人や車両などは府に丸ごと移管され、名称は「大阪消防庁(仮称)」に変更される。

 だが管轄は大阪市域のままで、消防署の増設も予定されていない。このため、市消防局は「特別区になっても到着時間は変わらない」と説明する。つまり「早くなる」という主張は誤りだ。

 早くなる可能性があるのは、都構想を推進する地域政党・大阪維新の会が公約に掲げる府内の市町村消防の一元化が実現した場合だ。現状だと、隣接する自治体からの方が早く到着できても「管外」で出動できないといった事態が生じうるが、一体的に運用することで、地域によっては最寄りの消防署が変わるためだ。

 実際、大阪府四條畷、大東両市が2014年に共同の消防本部を作った時は、消防車や救急車の到着時間が最大4分早まった。

 だが、消防一元化には関係市町村長の同意が必要で財政負担の問題もあり、調整には難航が予想される。

府内最安の水準

 水道料金は値上げ!

 これは反対派の市民団体が配布したビラの見出しだ。こうした断定調から「懸念される」という控えめな表現まで温度差はあるが、反対派の多くは、都構想の実現で水道料金が値上げされるかのように主張する。

 現在、府内の水道事業は主に大阪市と、それ以外の42市町村の2系統ある。

 大阪市は取水から給水を一貫して単独で担う。対して42市町村は「大阪広域水道企業団」という共同の組織を作り、各市町村と連携して水を届ける仕組みだ。水道料金は大阪市が府内で最安値の水準にあり、ほかの市町村は給水事情によりばらつきがある。

 都構想が実現すると、大阪市の水道事業は府の新組織「府水道局」に移り、4特別区の給水までを担う。府水道局は、大阪広域水道企業団とは別組織となる。

 府は将来的に、大阪市を含めた43市町村の水道一元化を目指しているが、今回の都構想が実現しても府水道局と企業団が併存する構図は変わらない。

 このため市水道局は「都構想が実現しても水道料金が値上げされることはなく、特別区で水道料金のばらつきも生じない」と説明する。

 反対派の中には、水道料金の議案を審議する議会が大阪市議会から府議会に移ることで、相対的に旧大阪市域の議員の声が弱まり、水道料金の値上げにつながる、との主張もある。

 だが、水道事業に詳しい近畿大の浦上拓也教授(公益事業論)は「水道料金を決めるのは、あくまでも(市町村の水道局などの)水道事業者で、人件費や設備維持費などから料金を算定し、議会に提案する。議会が恣意しい的に上げるものではない」と指摘する。

 そもそも水道料金は、大阪市のままでも上がる可能性がある。現在は20政令市の中で最も安いが、法定耐用年数(40年)を超えた水道管の割合は48%(2018年度末)と最悪の水準にある。今後は設備更新が必要なことに加え、人口減で水道使用量は減少し、経営は厳しくなるためだ。

 つまり、水道料金の値上がりと都構想の実現を結びつけた主張は、誤りとなる。(川崎陽子、有留貴博)

無断転載・複製を禁じます
1574119 0 ニュース 2020/10/24 06:00:00 2020/10/30 15:09:08 2020/10/30 15:09:08 都構想ファクトチェック用(20日午前11時37分、大阪市北区で)=宇那木健一撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201024-OYO1I50001-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ