大阪都構想 双方「言い過ぎ」…賛成派「観光局作り外国客増」 反対派「プールが減らされる」

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インバウンド

 「大阪府と大阪市一体で観光を牽引けんいんする組織を作り、外国のお客さんは1200万人に増えた」

 これは大阪市を廃止し、4特別区を新設する「大阪都構想」の賛成派が、街頭演説でよく使うフレーズだ。

 「組織」とは、府と市などが2013年4月、共同で設立した「大阪観光局」を指す。府と市が運営負担金として年間2億5000万円をそれぞれ支出し、職員は約60人。民間の旅行業界からの出向者も多い。

 都構想が目指す「広域行政の府市一体化」を先取りする形で組織された同局が、訪日外国人(インバウンド)を急増させたと、賛成派は力説する。

 府の担当者は「それまでは大阪市に観光で来た人はそこで終わりだったが、いかに府全体を回ってもらうかという視点で施策を考えるようになった」と説明。そのために打ち出した施策として、無料の公衆無線LANを観光施設など4700か所に整備したことや、府内を周遊する割安パスの販売などを挙げる。

 19年に大阪府を訪れた訪日外国人は1231万人で、11年の約8倍に増え、同じ時期に約5倍だった全国の伸びを上回る。

 だが奈良県立大の新井直樹教授(観光政策)は、「府と市が協力してインバウンド需要を取り込む努力をしてきたことは評価できるが、インバウンドの増加は、政府が推進した規制緩和など複合的な要因による」と指摘する。

 反対派も「インバウンドの急増はほかの要因が大きい」と主張する。

 「観光立国」を掲げる政府は13年からビザの発給要件を緩和し、19年に中国人向けの発給数が約7倍の約654万件に増えた。同年の大阪のインバウンドは、中国人が46%と最多。関西空港では、12年に格安航空会社(LCC)が就航し、アジア路線の乗り入れを拡大してきた。

 インバウンドの増加は、府市一体の取り組みに起因するとの賛成派の主張は、成果を「言い過ぎ」と言えるだろう。

市民利用施設

住民投票で、維持されるかどうかが議論になっている大阪市立プール(29日、大阪市此花区で)
住民投票で、維持されるかどうかが議論になっている大阪市立プール(29日、大阪市此花区で)

 「大阪市内に24か所あるプールを9か所まで統廃合しないと、お金が出てこないと言っている」

 反対派は街頭演説で、都構想が実現すると、現在、市内24区にそれぞれ設置されている市民利用施設が削減されると訴えている。

 プール以外で挙げるのは、スポーツセンターと子ども・子育てプラザ各24か所をいずれも18か所に削減、老人福祉センター26か所を18か所に削減するという主張だ。

 根拠となっているのは市と府の二つの試算にある。

 一つは、市が4年ごとに作成する「市政改革プラン」の12年版で、これらの施設の削減で年17億円のコストを削減していくとした点だ。

 二つ目は、都構想で誕生する特別区に関する府・市の財政試算で、各施設の管理運営費などを見直し28年以降、毎年2億~17億円の歳出削減ができるとした。

 反対派は、この財政試算の削減額の上限「17億円」と、12年版プランの内容を結びつけ、市民利用施設が削減されると訴える。

 府と市は、財政試算の「17億円」について、12年版プランの削減額をそのまま盛り込んだことを認める一方、「市民利用施設の削減は前提としていない」と明言し、反対派の主張を打ち消す。

 では、「17億円」の削減額をどう捻出するのか。府・市や賛成派は「特別区長のマネジメント(運営管理)力によって、17億円の数字は生み出せる」と説明するが、その具体的な削減案は明示していない。

 都構想の制度案では、市の住民サービスは特別区が設置される25年1月までは維持されるが、以後は、選挙で選ばれる区長や区議会の判断で変わりうる。

 つまり、特別区が「17億円」の削減を実現するために、市民利用施設の削減に乗り出さざるを得なくなる可能性は否定できないものの、「都構想が実現すると削減される」との反対派の主張は、「言い過ぎ」だ。(川崎陽子、松久高広)

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1589658 0 ニュース 2020/10/30 06:00:00 2020/10/30 14:54:57 2020/10/30 14:54:57 大阪市立此花屋内プール。平日でも利用する市民らの姿が見える(29日午後1時31分、大阪市此花区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201030-OYO1I50001-T.jpg?type=thumbnail

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