ふるさと納税激減の大阪・泉佐野、返礼品開発へ補助金

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 ふるさと納税制度から除外された大阪府泉佐野市など4市町が、制度に復帰してから4か月余りがたった。いずれも復帰後は国の返礼品ルールを守っているが、目立った特産品がなく、寄付額は激減している。そうした中、泉佐野市が今月、返礼品開発と寄付金募集を両立させる独自の取り組みを始めた。再び存在感を示すことができるのか、注目される。(坂木二郎)

泉佐野市のCF型ふるさと納税に参加した「丸善食品」の古谷雅弘社長(右)(大阪市中央区で)
泉佐野市のCF型ふるさと納税に参加した「丸善食品」の古谷雅弘社長(右)(大阪市中央区で)

制度復帰

 「年内の寄付目標10億円」。泉佐野市でふるさと納税を担当する成長戦略室の職員の間では、こんな合言葉が飛び交っている。

 市は、総務省の自粛要請を無視してアマゾンギフト券や地場産品以外の豪華な返礼品を提供。2018年度に全国の約1割にあたる約497億円を集め、昨年6月の新制度移行に伴い、静岡県小山、和歌山県高野、佐賀県みやきの3町とともに制度から除外された。

 市は、「当時は適法だった」と除外の取り消しを求めて提訴。今年6月、最高裁で逆転勝訴し、7月3日に制度復帰が認められた。

 新制度では「寄付額の3割以下の地場産品」との返礼品基準が地方税法で定められた。市は復帰後、「ルール順守」を強調し、現在は地場産品の泉州タオルや水ナスなど約800品目を用意。品目数は除外前の水準に戻りつつあるが、これまでに集まった寄付は約1億円と、目標に掲げた年内10億円の10分の1にとどまる。

 ふるさと納税を担当する阪上博則理事は「米、肉、カニという『三種の神器』がない泉佐野市は不利だ」と不満をにじませつつ、目標達成については「実現可能だ」と自信を見せる。

 その切り札とみているのが、今月始めた補助金付きのクラウドファンディング(CF)型ふるさと納税だ。

「三方一両得」

 CF型ふるさと納税は、自治体がふるさと納税の仕組みを使い、特定の事業への寄付を募る手法だ。

 市の取り組みは、企業から募集した返礼品開発事業について、ふるさと納税で寄付を募る。目標額を達成すると、国の基準で決まった寄付額の3割を返礼品代として企業に支払うほか、寄付額の4割(上限あり)を補助金として交付する。

 新制度では、自治体内の企業や工場で生産・加工されたものであれば、地場産品として認められる。

 市に寄付はほとんど残らないが、新たな返礼品を獲得し、企業誘致につながる。企業は新事業に取り組め、寄付者は返礼品をもらうことができ、市は「三方一両得だ」と胸を張る。

 大阪市の食肉加工会社「丸善食品」は熟成肉の加工工場を泉佐野市に建設するプロジェクトを提案し、7500万円を募っている。目標達成すれば、寄付1万円で2キロ分の熟成肉を提供する予定で、開始2週間で約1100万円が集まった。

 古谷雅弘社長(62)は「補助金は魅力的で、返礼品は採算度外視で用意した。泉佐野の取り組みということで注目されており、きっと寄付は集まる」と期待する。

 千代松大耕ひろやす市長は「企業と一緒に泉佐野も発展したい」と意気盛んに話すが、目標に達しないと企業は補助金は得られない。

 市が3回開いた説明会には延べ63業者が集まったが、参加は7業者。検討中の農業男性は「よほど魅力的な返礼品を用意しないと寄付は集まらない」と慎重だ。

「競争よりも…」

 ほか3町も、7月に制度に復帰した。

 除外前の18年度に約196億円を集めた高野町は約670品目をそろえたが、寄付は3300万円にとどまる。担当者は「町内に地場産品が少なく、工夫にも限界がある」とこぼす。

 約250億円だった小山町も約7400万円に激減したが、約168億円だったみやき町は佐賀牛などが人気で4市町で最多の約4億円の寄付を集めた。皮まで食べられる特産バナナのPRにも力を入れており、末安伸之町長は「よそとの競争だけでなく、町の魅力を知ってもらえることを大切にしたい」と語った。

 総務省によると、新制度移行初年度の19年度、全国のふるさと納税の寄付総額は4875億円で、前年度から252億円減った。牛肉や海産物など特産品が多い自治体が上位を占めた。

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1636092 0 ニュース 2020/11/18 15:00:00 2020/11/18 15:00:00 2020/11/18 15:00:00 ふるさと納税への返礼品製造工場建設費を募るクラウドファンディングに参加した、精肉業者「丸善食品」の古谷雅弘社長(右)(11月13日、大阪市中央区で)=東直哉撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201118-OYO1I50002-T.jpg?type=thumbnail

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