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若者が介護、その時に…30代の体験、本でコツ伝授

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 30歳代に6年間、認知症の祖母(89)を在宅介護した関西在住の奥村シンゴさん(41)が今月、自身の経験をつづった「おばあちゃんは、ぼくが介護します。」(法研)を出版した。身内の介護を担う若い人は「若者ケアラー」と呼ばれ、学業や仕事への影響が問題になっている。奥村さんは「突然訪れるのが介護。何が起きるのかを知り、その時に備えてほしい」と訴える。(河下真也)

介護の経験をつづった本を出版した奥村さん(大阪市北区で)
介護の経験をつづった本を出版した奥村さん(大阪市北区で)

 2012年11月、一人暮らしの祖母が写真の中の子どもに向かって「食べ物も飲み物ももらえないの? かわいそうに」と語りかけた。それを聞いた奥村さんは病院に連れて行き、認知症と診断された。

 直後に母親も脳梗塞こうそくで倒れたため、弟、妹と相談。施設に入れるお金はなく、「幼い頃からかわいがってもらったおばあちゃんのため」と、唯一独身だった奥村さんが同居して面倒をみるようになった。

 介護のため勤務先を辞め、貯金を取り崩して生活費に充てた。祖母は1日に10回近く同じ話を繰り返し、調理前のカレーのルーを口に入れたり、尿をもらしたりした。一日中付きっきりで心労はたまったが、交際中の女性も親の介護をしており、悩みを共有することで何とか乗り切れたという。

 15年、祖母の要介護度が上がってデイケアを利用できる頻度が増え、心身とも少し楽になった。一方、介護の日常を記したブログが人気となり、インターネットメディアに寄稿するなどフリーのライターとして仕事を再開。祖母の症状がさらに進んだ18年、介護施設に入所させた。

 介護で悩む人たちの助けになればと経験を本にしようと考え、約70社の出版社を回って売り込んだという。著書では無理なく介護を続けるコツもまとめ、▽働く同世代を見ても社会から取り残されていると思わず、堂々と生活する▽在宅ワークを活用する▽同世代の介護経験者に悩みや愚痴を語る――などと説く。

 奥村さんは「家族の誰が介護を担うのか。在宅か施設利用か。人ごとと思わず、家族であらかじめ介護の在り方を相談しておくことが大切」と話す。A5判、160ページ。税込み1650円。

15~39歳、54万人が介護

 高齢化などで中高年だけではケアを担えなくなり、介護に携わる若者は増えている。

 日本ケアラー連盟は、18歳未満を「ヤングケアラー」、18歳から30歳代を「若者ケアラー」と定義。総務省の就業構造基本調査(2017年)によると、家族を介護する15~39歳は約54万人で、5年前から約3万5000人増えた。

 学生の場合、勉強時間を十分とれなかったり、不登校になったりするケースもある。20~30歳代では、介護を理由とする離職が問題化している。

 政府は「介護離職ゼロ」を目指し、特別養護老人ホームの整備など対策を強化。一方、民間団体なども、当事者が悩みを共有する場を設けるなどの支援を進めている。

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1719685 1 ニュース 2020/12/22 15:00:00 2020/12/22 15:00:00 2020/12/22 15:00:00 介護経験をつづった書籍を出版した奥村さん https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201222-OYO1I50006-T.jpg?type=thumbnail

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