感染拡大 関西も危機感…緊急行動宣言
完了しました


関西広域連合が5日、2府6県にまたがる異例の「緊急行動宣言」を打ち出した。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない首都圏と同じ事態に陥ることを防ぐため、首長が足並みをそろえて府県民に協力を求めた。一方、居酒屋などへの営業時間の短縮要請については、感染状況の違いなどから自治体間で温度差も生じている。
吉村知事「団結して乗り越える」
「首都圏で緊急事態宣言が出される。感染をどう抑え込むか、力を合わせて対応しないといけない」
5日、神戸市内で開かれた関西広域連合の新型コロナ対策本部会議の冒頭、連合長の仁坂吉伸・和歌山県知事は危機感をにじませた。
会議は、前日の4日、政府による首都圏の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)への緊急事態宣言発令方針を受けて、急きょ開催が決定。関西広域連合に加わる近畿2府4県の知事、政令市長と鳥取、徳島両県知事ら計12人が参加した。
緊急行動宣言は法律には基づかず、首長が各府県民に呼びかけるもので、強制力や罰則規定はない。
宣言が出た背景には、首都圏での急速な感染拡大に対する関西での緊張の高まりがある。
直近1週間の大阪府の新規感染者は5日時点で、1日平均300人近くに上っており、京都府や兵庫県でも収束する気配がない。
会議では、政府による関西圏での緊急事態宣言の発令について「現時点で求める状況にはない」との認識では一致したが、大阪、京都、兵庫の3府県で感染者が今後、増えた場合、3府県の知事が国へ宣言の発令を要請することを決定。井戸敏三・兵庫県知事は、重症病床の使用率などを要請の判断材料にするべきとの考えを示した。
会議後、知事らは記者会見に臨み、吉村洋文・大阪府知事は「関西で団結してこの危機を乗り越えたい」と強調。緊急行動宣言に基づき、府県民一丸となった対応の必要性を訴えた。
飲食店時短には温度差
一方、酒類を提供する飲食店への営業時間の短縮要請については、仁坂知事が「それぞれの知事が決めればいい」と述べ、各府県ごとに判断するべきとの考えを表明。実際に府県の間では対応が分かれている。
大阪府では、昨年11月22日に過去最多の490人の新規感染者が確認されたことを受け、同27日に大阪市の北、中央両区を対象に、営業時間を午後9時までに短縮するよう要請。その後、対象を大阪市全域に広げた。
要請は今月11日までだが、松井一郎・大阪市長は4日、「一挙にフルタイムでやってくれとはならないかもしれない」と述べ、継続を示唆している。
京都府も昨年12月21日から1月11日まで、京都市内全域を対象に営業時間を午後9時までに限定するよう要請中だ。
これに対し、兵庫県は、昨年4月の緊急事態宣言の発令時に休業や時短の要請を実施した以外は、これまで要請を見送ってきた。
5日の県内の感染者は過去2番目に多い222人となったが、井戸知事はこの日、記者団に対し、「時短要請がどこまで感染収束に貢献できるか、はっきりしていない」と説明。県幹部も「時短要請は『最後の切り札』」と話し、慎重な姿勢を示した。