感染増で一転、緊急事態要請へ 医療体制 限界迫る…大阪
完了しました



新型コロナウイルスの感染拡大で、大阪、兵庫、京都の3府県も緊急事態宣言の要請に向けて動き始めた。大阪府ではこの2日間連続で過去最多の感染者数が確認され、一時期の小康状態から再び増加の兆候が表れている。昨年11月から続く感染拡大で、医療体制の余裕は既になく、宣言の要請に慎重だった吉村洋文知事は決断に追い込まれた。
「感染の拡大が明らかにみえている。放っておけば、対応が困難になる」
吉村知事は7日夕、報道陣に対し、緊急事態宣言を要請する考えに至った経緯をこう説明した。
要素としては「2日間連続で過去最多となった感染者数」「首都圏の右肩上がりの感染者増加」「冬はコロナの感染力が増す」ことなどを考慮したとし、「(増加傾向は)一過性との意見もあるが、楽観的に判断すべきではない」と強調した。
仕事始めの4日に「現時点で要請する考えはない」としていた姿勢を一転させたのは、大阪府の医療体制がこれ以上の感染拡大に耐えきれないという事情が大きい。
府内では首都圏より早い昨年11月から感染拡大が目立ち始めた。府の発表の数値では、12月に入り確保のめどがついた重症病床の使用率が70%に近づき、同3日に、感染状況を示す独自基準「大阪モデル」で最も深刻な「赤信号」を点灯。「医療非常事態」を宣言した。この時期は、自衛隊や全国の自治体に医療スタッフの応援を求める事態に至っていた。
その後、繁華街での時短営業などを矢継ぎ早に要請した効果で、感染者数は徐々に減少しはじめていたが、高齢の感染者が多いこともあり、病床の空きは増えなかった。医療機関に協力を求めたが、病床の拡充も思うように進まず、重症病床の使用率は70%ラインを挟んで上下を繰り返し、年の瀬を迎えた。
年末年始は300人前後で収まり、このままなら使用率が下がるのではとの期待もあったが、状況が一変したのが1月6日だ。感染者数は過去最多の560人。しかもこれまでの傾向と異なり、若い年代の感染者が急増していた。
直近1週間(1~7日)の新規感染者では、前週に比べ、10代で2・3倍、20代は1・4倍、30代は1・5倍になり、7日の新規感染者607人では10~30歳代は48・6%を占めている。
若者が集まった会食、カラオケでのクラスター(感染集団)も確認された。
若い世代は、無症状、軽症が多く、他者にうつしやすいとされる。急速な感染拡大につながるとの見方があり、ブレーキを強めることを余儀なくされた。
吉村知事は「この状況で感染者数が増えれば、また医療が
兵庫「強いメッセージを」 京都「大阪と同様の状況」
兵庫県の井戸敏三知事と京都府の西脇隆俊知事は7日、緊急事態宣言発令の要請について吉村知事とそれぞれ電話で協議した。両府県とも7日の新規感染者が過去最多となるなど感染が急拡大しており、大阪府と足並みをそろえる方向だ。8日の対策本部会議で発令の要請を正式決定する見通し。
「一時的な現象というだけでは説明できないほど、感染者の増え方が急激だ」。兵庫県の井戸知事は7日、「県民に強いメッセージを発する段階にある」として、宣言の発令が必要との認識を示した。
県はこれまで、「飲食店では大規模なクラスター(感染集団)が発生していない」として営業の時短要請を見送ってきたが、井戸知事はこの日、「飲食の機会を減らす対応を考えざるを得ない」として、神戸市内の飲食店での時短営業を検討する考えを示した。
京都府の西脇知事は「大阪が(宣言に)踏み込まざるを得ない状況になったと判断した。一体の都市圏を形成している京都も同様の感染状況にある」と述べつつ、「緊急事態宣言という、より強い措置を取るのは府民生活や社会経済活動に大きな影響を与える。できれば取りたくない」と本音ものぞかせた。
滋賀県も7日、2日連続で過去最多を更新。三日月大造知事は「滋賀を宣言の対象に含めることは考えていないが、ギリギリの状態であることは県民と共有したい」と述べた。
医療関係者、宣言発令期待
大阪府の判断について、コロナ患者の治療にあたるりんくう総合医療センターの