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「熊本」も伝える使命 「生後5日」と大学時代に被災した高校教諭

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児童たちに命を守る避難行動などについて話す圓藤さん(15日、兵庫県養父市の市立宿南小で)=近藤誠撮影
児童たちに命を守る避難行動などについて話す圓藤さん(15日、兵庫県養父市の市立宿南小で)=近藤誠撮影

 阪神大震災を機に設立され、災害時の児童生徒のケアや防災教育にあたる兵庫県教育委員会の専門組織「EARTH(アース)」に今年度、震災の5日前に神戸市で生まれた女性が加わった。「被災地」を実感することなく育ったが、学生時代に熊本地震に遭い、命の大切さを子どもたちに伝えようと決意。最年少メンバーとして15日、初めて防災授業の講師を務めた。(畑夏月)

 「1・17」を前に、兵庫県養父市立宿南しゅくなみ小で15日に行われた防災授業。1~6年の児童25人に「避難訓練の積み重ねが命を助ける行動につながる」と語りかけたのは、県立但馬農業高校教諭の圓藤えんどう沙和さん(26)だ。

 26年前の1月17日は、出産を終えた母と神戸市兵庫区の病院を退院した日だった。父は「母子とも助からないかもしれない」と思いながら、混乱した街を車で走って迎えにきたと後に聞いた。一家に被害はなく、震災の記憶がないまま育った。学校では震災について学び、神戸で生まれた復興ソング「しあわせ運べるように」も歌ってきたが、自分の街で起こったことを実感できなかった。

 動物が好きで、熊本県南阿蘇村にある東海大農学部に進学した。4年生だった2016年4月16日未明、熊本地震の本震が発生。キャンパスに近い学生寮で、寝ていたベッドがトランポリンのように揺れた。「出ろ」という外からの大声に促され、停電で真っ暗な中、ゆがんだドアに体当たりして飛び出した。

 寮の前の2階建てアパートは1階部分が倒壊。学生数人が生き埋めになり、同じバレーボールサークルだった同級生の脇志朋弥しほみさん(当時21歳)が亡くなった。脇さんとはともに教職課程で学んでおり、頭が良く、まじめな印象だった。

 圓藤さんの父は子どもの頃から小さな笛を持たせてくれていた。いざという時、自分がいる場所を周囲に知らせるためと聞かされ、今もキーホルダーにつけて持ち歩いている。学生の救出活動に加わり、その意味がようやく実感できた。

 19年に教員に採用され、不意に「しあわせ運べるように」の一節が脳裏をよぎった。<亡くなった方々のぶんも毎日を大切に生きてゆこう>。教師になることが夢の一つだったという脇さんの顔が浮かんだ。

 今後、自分と同じように阪神大震災を知らない若い教員が増えていく。「神戸で生まれ、熊本地震を経験した自分なら役に立てるのではないか」と思い、アースに参加することにした。

 圓藤さんは「つらい体験だけど子どもたちに語り、伝え、必ず世の中に生かしていく」と自らに言い聞かせている。

EARTH(Emergency And Rescue Team by school staff in Hyogo) 災害時に児童生徒の心のケア、学校の避難所運営や授業の早期再開を支援するとともに、防災啓発も行う組織で、2000年4月に発足。現在、養成研修を受けた教職員240人、カウンセラー3人が登録している。

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1774475 0 ニュース 2021/01/16 06:00:00 2021/01/16 06:00:00 2021/01/16 06:00:00 児童たちに命を守る適切な避難行動などについて話す兵庫県教委の震災・学校支援チーム「アース」の圓藤沙和さん(15日午後1時59分、兵庫県養父市で)=近藤誠撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210116-OYO1I50001-T.jpg?type=thumbnail

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