オンキヨー財務健全化、鍵は海外ファンド
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音響機器メーカーのオンキヨーホームエンターテイメントの経営再建が正念場を迎えている。3月末までに債務超過を解消できなければ、ジャスダック上場の廃止に追い込まれる可能性がある。財務の健全化には、出資を要請している海外の投資ファンドが鍵を握るが、見通しは立っていない。
オンキヨーは1月末に大阪市内で開いた臨時株主総会で、英ケイマン諸島籍のEVO(エボ)ファンドを引受先とする最大62億円相当の新株予約権を発行する議案を承認した。
東京証券取引所は3月末までに債務超過(昨年9月末時点=23億円)を解消しなければ、上場廃止の可能性があるとしている。オンキヨーは、エボから得た資金で債務超過から抜け出すシナリオを描くが、エボが行使した予約権は4日時点で2億5000万円分にとどまる。残りを3月末までに行使するとの期限は定められておらず、判断はエボの裁量に委ねられており、オンキヨーの思惑通りになるかは不透明だ。
大阪府内の株主の男性(60)は「エボが本当に信用できるのか分からない」と先行きを懸念する。
オンキヨーは12日、2020年4~12月期連結決算を発表する予定だ。債務超過額や未定になっている通期予想など、業績が改善しているのかにも注目が集まる。信用調査会社の担当者は「若年層はブランドへのこだわりが少なく、音響・映像機器に対する『巣ごもり需要』が継続するかも疑問で、再建できるかは未知数だ」と指摘する。(都築建)