教誨師 受刑者導く「どんな人生もやり直せる」…京都コングレスで活動紹介
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刑務所で受刑者らを教え諭す
団体は公益財団法人「全国教誨師連盟」(東京)。連盟によると、日本の教誨師は1872年、真宗大谷派の僧侶が監獄で説教を行ったのが始まりという。連盟には1820人が所属。仏教系1191人、キリスト系252人、神道系216人などとなっている。 教誨師に詳しい龍谷大教授の石塚伸一・犯罪学研究センター長によると、欧米にも教誨師はいるが、連盟のように異なる宗教が集って更生を支援する取り組みは世界でも珍しいという。
同連盟の谷沢正次事務長(63)は「受刑者は様々な教えや導き、価値観と出会うことができる」と利点を強調する。12日まで開かれる京都コングレスでは、会場の国立京都国際会館内で活動や功績を伝えている。谷沢事務長は「宗教の違いがあっても、誰もが受刑者の更生を第一に考えていることを知ってほしい」と話す。

異色の経歴
連盟には異色の教誨師も所属している。千葉県柏市の牧師、鈴木啓之さん(65)は元暴力団組員だった。
大阪市出身で、高校入学後、遊ぶ金ほしさに恐喝を繰り返した。17歳で暴力団員となり、2度の服役も経験した。34歳の時、ばくちの借金で命を狙われ、逃亡。薬物におぼれ、たどり着いた東京・新宿の教会で牧師に出会い、神学校で学んだ。
牧師になった後、教誨師の活動も始め、約15年前から月1回程度、府中刑務所(東京)で受刑者と面談する。自暴自棄になっている受刑者の話にじっと耳を傾け、自身の過去も隠さずに語る。「寄り添い、胸のつかえを吐き出させてあげることが大事」と言う。
これまで対話してきた受刑者らから数百通の手紙を受け取った。多くは更生を誓ったり、感謝したりする内容だ。鈴木さんは「生きている限り、どんな人生もやり直せる」と話している。
連盟は会場で、鈴木さんの取り組みも紹介する。
教誨師 刑務所や拘置所などで受刑者や死刑囚らと面会し、希望者に宗教の教えに基づく話をするボランティアの宗教家。刑事収容施設法は、受刑者らが教誨師と対話できる機会を刑務所などが設けるよう求めている。