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陰謀論、家族引き裂く…SNSで傾倒 言動激化

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 全てディープステート(闇の政府)の仕業だ――。そんな言説が、昨秋の米大統領選にとどまらず、新型コロナウイルスや有名人の死を巡っても広がっている。コロナ禍の外出自粛によるSNS依存も、背景にあるとみられる。陰謀論に傾倒した結果、家族や友人との関係が悪化するケースが相次ぎ、深刻な影響を及ぼしつつある。

耐えられず離婚

 東京都内に住む50歳代の女性が、夫の言動を「おかしい」と感じるようになったのは昨年夏だった。

陰謀論に傾倒した夫と離婚した女性(中央)と、2人の子ども。夫は、家族旅行などの思い出を記した手紙を残して出て行った(東京都内で)
陰謀論に傾倒した夫と離婚した女性(中央)と、2人の子ども。夫は、家族旅行などの思い出を記した手紙を残して出て行った(東京都内で)

 「コロナは存在しない。世界の支配層が仕組んだ偽装パンデミックだ」「ワクチンは危険。彼らは人口削減を狙っている」

 そんな荒唐無稽な主張を繰り返すようになった。

 夫は精密機器メーカー勤務。昨春以降、在宅勤務で自室にこもる日が続いていた。こうした陰謀論は海外で流布され、日本でもSNSで広める人が増え始めていた。夫も、こうした内容に強い影響を受けた可能性があるという。

 夫の行動は、地元の人に陰謀論を話したり、娘の中学校の保護者らにチラシを配ったりするなどエスカレートしていった。

 女性が「我慢できない」と離婚を切り出すと、夫は家を出て行った。

 夫は一人暮らしをしながら、今もSNSで自説を発信している。女性は「誰かを攻撃したり、人に意見を押しつけたりするようになり、怖くなった。周囲に『陰謀論にはまった』と言うと、どんな反応をされるかわからず、相談もしにくかった」と肩を落とした。

友人と絶縁

 <家族が陰謀論を語り出し、困惑している>

 <洗脳されている>

 <誰か助けてください>

 SNS上には、そんな投稿が多数見られる。

 東日本に住む男子大学生もその一人。同居する母親が信じているのは、昨年7月に自殺した人気男性俳優の「他殺説」だ。

 ユーチューブでは「(男性俳優は)海外の幼児誘拐組織に立ち向かい、消された」などと主張する動画があふれている。母親は俳優のファンでもなかったが、いつの間にか動画を見るのがやめられなくなり、「真実が隠されている」と憤りを口にするようになった。

 大学生は「母に『それは偏った情報だ』と指摘しても聞く耳を持たない。どう接すればいいのかわからず、つらい」と漏らす。

 千葉県内の女性(72)は、40年来の親友との関係が崩れたという。

 親友は「トランプ前大統領が闇の政府と戦っている」という米国発の言説に傾倒。大統領選後は「票が盗まれた」などと不正を主張し、女性が「根拠がない」と言うとけんかになった。今年1月以降はメールをしても返信がなくなった。

 女性は「彼女を尊敬していたので本当にショック。また会いたいが、過激になっていたらと思うと、少し怖い」と話した。

「説得よりも相手に理解を」 対処法

 身近な人はどう接すればいいのか。人間は信じている事を否定されると、より強固に信じてしまうことがある。「バックファイア効果」と呼ばれ、周囲の対応は容易ではない。

 欧米でも、陰謀論によって親子関係が断絶されるなど社会問題になっている。

 米公共ラジオNPRは、コミュニケーション論の専門家の見解として「相手の話をバカにしない」「科学的根拠を示しても逆効果になる」などの接し方を推奨。英公共放送BBCも「相手の心の奥にある不安や心配に耳を傾け、共感する姿勢を示す」という専門家の助言を紹介している。

 立正大の西田公昭教授(社会心理学)は「重要なのは、否定したり事実を提示して説得したりするよりも、その人が信じる背景を理解することだ。根気強く寄り添うには、できるだけ多くの親しい人が関わるほうがいい」と指摘する。

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1907926 0 ニュース 2021/03/13 06:00:00 2021/03/13 06:00:00 2021/03/13 06:00:00 陰謀論に傾倒した夫と離婚した女性(中央)と、2人の子ども。夫は、家族旅行などの思い出を記した手紙を残して出て行った(東京都内で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210313-OYO1I50000-T.jpg?type=thumbnail

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