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西成 メダデ新教会できた~西田牧師、倹約生活実る

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新教会の完成を祝う西田さん(中央)と信徒たち(21日、大阪市西成区で)=長沖真未撮影
新教会の完成を祝う西田さん(中央)と信徒たち(21日、大阪市西成区で)=長沖真未撮影
新しく完成したメダデ教会
新しく完成したメダデ教会

 大阪・西成の路地裏にあるメダデ教会が今春、生まれ変わった。50歳で教師から転身した異色の経歴を持つ女性牧師が、野宿や刑務所暮らしを経験したワケありの信徒たちを率いており、中華料理店を改装した古い建物だったが、隣に真新しい2階建ての教会が完成したのだ。

 牧師は、西田好子さん(70)。コテコテの関西弁でズケズケと話し、よく笑い、急に怒り、すぐ泣く。元々は学校の教師だったが、50歳で一念発起して大学の神学部に入学。牧師になるも人間関係で衝突と挫折を繰り返した末に西成にたどり着き、2012年、「愛があふれる」という意味を持つメダデ教会をひらいた。

 信徒は犯罪歴やアルコール依存症など様々な過去と事情を抱え、家族に見放され、差別と偏見にさらされてきた人ばかりだが、牧師の強烈な個性に引っ張られ、助け合って生きている。

 中華料理店を改装した教会は床が抜け、雨漏りもひどい状態だったが、西田さんには夢があった。

 「西成でアオカン(野宿)しているおっちゃんらを全員招くため、もっと大きな教会を建てたい」。主食は「パンの耳」という倹約生活で、ついに2階建ての新教会ができた。

 今月21日、完成を祝う「献堂式」では広くて明るい礼拝堂に70人を超える人が集まった。西田さんの説教はハレの日であっても平常通り。たびたび脱線し、次第に絶叫調となり、信徒に檄を飛ばした。

 「新しい教会ができたのにケンカしとったらアカンで。あの子はこういうこと言うたら怒るんや、こういう時に笑うんや。お互い、そういうことを知ろうとせえ。それでやっと、ほんまもんの家族になれるんや!」

 もちろん、西田さんがどんなに手をさしのべても、届かないこともある。

 例えば、ヒデキさん(47)。刑務所や路上で人生の大半を過ごし、19年にシンナーでまた逮捕された。それまでに知り合っていた西田さんの支えで刑務所内で再起の兆しを見せていたが、今年2月、出所すると再び飲酒し、警察に保護されることを繰り返している。

 「なんぼこっちが愛をばらまいてもな、全部、ザーザーと漏れていくねん。愛はあまりに無力や」と嘆く西田さんだが、決して見捨てることはしない。

 「それでも私はヒデキと毎日しゃべりますねん。アホ、ボケ、カスと言いながら。毎日、会うてますねん」

前途多難でも輝く信徒

 この2年、メダデ教会を追い続けてきた。19年1月~昨年6月に計70回連載し、「愛をばらまけ――大阪・西成、けったいな牧師とその信徒たち」(筑摩書房、税込み1540円)という本にまとめることもできた。

 でも私は、記念すべき献堂式で「おめでとう」と言えなかった。西田さんの不安を知っていたからだ。信徒が増える保証はなく、今の信徒も老いと病にさらされている。後継者もいない。

 「メダデ教会はパッと一瞬輝いて終わりました。そんなアホなこと許されへん」

 前途は多難だ。でも、新教会で賛美歌を歌う信徒たちの目は「家族」と生きる喜びで輝いていた。やはり私は伝えるべきだった。

 西田さんの好きな聖書の一節とともに。

 〈求めよ、さらば与えられん〉

 きっと大丈夫ですよ。そして、おめでとうございます。(上村真也)

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1941500 0 ニュース 2021/03/27 15:00:00 2021/03/27 17:19:04 2021/03/27 17:19:04 新しく完成した礼拝堂で完成を祝う「献堂式」を行う西田牧師ら(21日、大阪市西成区で)=長沖真未撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210327-OYO1I50008-T.jpg?type=thumbnail

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