iPSから胎盤細胞 不妊症の解明に期待…京大などのチーム
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人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、胎盤を構成する主な3種類の細胞の作製に成功したと、京都大iPS細胞研究所の高島康弘講師(再生医学)らのチームが発表した。不妊症や妊娠高血圧症候群などの原因解明につながる可能性がある。論文が8日、米科学誌セル・ステム・セルに掲載された。
胎盤は、胎児が成長するのに必要な酸素や栄養を母親の血液から吸収する役割を担う。人の受精卵は子宮に着床した後、外側にある細胞は胎盤になり、内側の細胞は胎児の組織を作る。
チームは、通常のiPS細胞をより人の受精卵に近づける処理を施すなどした上で、受精卵の外側にある胎盤のもとになる細胞に変化させた。さらに、この細胞から3種類の胎盤の細胞を作ることができたという。
チームによると、これらの細胞を胎盤のもとになる細胞から作製したのは世界で初めてという。ただし、栄養の吸収など胎盤の細胞本来の機能を持っているかまでは確認できていない。受精卵は「生命の
母親や胎児が危険な状態になる恐れがある妊娠高血圧症候群や、胎児の発育不全などには胎盤の異常が関連しているとされる。高島講師は「将来的に人の胎盤の組織を作るのが目標の一つ。不妊症などの患者からiPS細胞を作り、病気を再現すれば原因解明につながる可能性がある」と話す。