若いがん患者 輝く姿を、AYA世代 東大阪で無料撮影会…写真家 ネットで寄付集め

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「華やかな着物姿で笑顔になってほしい」と話す西尾さん(大阪府東大阪市で)
「華やかな着物姿で笑顔になってほしい」と話す西尾さん(大阪府東大阪市で)

 「YA世代」(15~39歳)と呼ばれる若いがん患者をモデルにした無料撮影会が6~7月、大阪府東大阪市で開かれる。支援に取り組む女性写真家が、孤立しがちな患者を元気付けようと企画。「華やかな着物を着た自分の姿を見て笑顔になって」と参加を呼びかけている。(福永正樹)

■好きな着物で

 企画したのは大阪市旭区の西尾菜美さん(46)。2年前までがん専門病院で広報を担当していた西尾さんは、病院でAYA世代患者の現状や支援体制の不備などを知り、退職後も医師らと協力。動画投稿サイト「ユーチューブ」で、患者向けに病院選びのポイントやがんの正しい知識などを発信してきた。

 昨秋、知人の医師から、患者支援のイベントへの参加を打診され、思いついたのが撮影会だ。以前病院内のイベントで、メイクをしてもらった女性患者が、携帯で撮影した写真を大事そうに病室に持ち帰った姿を思い出し、企画した。西尾さんは、東大阪市の呉服店「丸十」内の写真スタジオで責任者を務めており、同店も衣装提供で協力する。

 撮影会は、がん経験のある20~39歳の男女が対象で、好みの振り袖やはかまを選び、専門のスタッフがヘアメイクや着付けを行う。撮影した写真のデータやアルバムをプレゼント。費用はクラウドファンディングで126人から寄せられた約90万円を充てる。

 西尾さんは「撮影会を機にAYA世代の患者のことを一人でも多くの人に知ってほしい」と話す。

■自信持ちたい

 大阪府茨木市の福祉施設非常勤職員多田詩織さん(25)も参加する一人だ。2歳半の頃、小児がんの一種「網膜芽細胞腫」で右目の眼球を摘出。1年近く抗がん剤や放射線の治療を続け、その後は再発なく過ごしているが、「義眼に違和感があり、ずっとコンプレックスを感じて思春期を過ごしてきた」という。

 見た目を改善する治療を始めた中学3年の頃からは、ずっと眼帯を着けたままの生活で、卒業アルバムも眼帯姿。成人式でも写真は撮らず、「いつか眼帯を外したきれいな写真が撮りたい」と思い続けてきた。

 今は眼帯は外しているが、着物姿は成人式以来。「これまでは着飾ることを楽しみに思えなかったが、撮影会ではメイクの技術も教わりたい。少しでも自分の自信につながれば」と楽しみにしている。

 撮影会は6~7月の計6日間で、1日3組限定。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が延長された場合、日程を延期するケースもある。専用サイト(https://site-aya-hurisode2021.mystrikingly.com/)で先着順で受け付ける。

AYA世代

 思春期(Adolescent)と若年成人(Young Adult)の英語の頭文字で、15~39歳のがん患者を指すことが多い。

同世代 相談相手少なく…経済的負担も

 国内では毎年約100万人が新たにがんと診断されるが、AYA世代の患者は約2万人。東京五輪代表に内定した競泳の池江璃花子選手も発症した白血病など、「希少がん」と呼ばれる珍しいがんも多い。

 闘病の時期が進学や就職、結婚など人生の節目と重なることも多く、サポート体制の整備が欠かせないが、同世代の相談相手が少ないことなども課題だ。

 経済的な問題もある。収入が少なく不安定な世代で、医療保険に加入していないケースも多い。AYA世代の大半を占める18~39歳は、国の医療費助成や介護保険の対象年齢から外れ、経済的支援も必要となっている。

 このため、国は2018年策定の「第3期がん対策推進基本計画」で、初めてAYA世代のがん対策を盛り込み、情報提供や相談体制の整備に取り組み始めた。

 医師らでつくる一般社団法人「AYAがんの医療と支援のあり方研究会」(名古屋市)は、無料通信アプリ「LINE」で患者が抱える課題などについて情報発信しており、今年3月には初の啓発イベントも開いた。研究会メンバーで、大阪国際がんセンター(大阪市)の多田雄真医師は「AYA世代がん患者の現状について関心を広め、社会全体の課題として取り組んでいきたい」と話している。

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