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居酒屋休業もう限界、開けても赤字「アリ地獄のよう」…大阪・新世界の老舗店主

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休業中の「酒房 半田屋」(大阪市浪速区で)=宇那木健一撮影
休業中の「酒房 半田屋」(大阪市浪速区で)=宇那木健一撮影
半田屋店主の半田信二さん
半田屋店主の半田信二さん

 長引くコロナ禍で、飲食店の苦境が深まっている。大阪・新世界で3代続く居酒屋の店主は3か月以上休業中で、経営する酒店の売り上げも落ち込み、二重の痛手に苦しむ。緊急事態宣言の期限が20日に迫る中、店主に胸の内を聞いた。(松田祐哉)

 新世界のシンボル「通天閣」から南に約100メートル。居酒屋「酒房 半田屋」(大阪市浪速区)のシャッターは下ろされ、休業の貼り紙が掲示されていた。

 「『第4波』でとどめを刺された。まるでアリ地獄のよう」。店主の半田信二さん(62)はため息をつく。

 居酒屋は、石川県出身の祖父が1945年の終戦直後に開いた。カウンターのみの、こぢんまりとした店。近くで酒店も経営し、日本酒やビール、ワインや焼酎まで幅広く提供する。高度成長期には労働者でにぎわい、バブル崩壊後はサラリーマンが多くなった。

 亡くなった父の後を引き継いだのは2015年。酒や料理の種類を増やし、口コミで訪れる客も増えた。2年前には、水回りなど老朽化した設備を全面改装した。多額の借金をすることになったが、「これから頑張ろう」と、逆に自らを奮い立たせた。

 しかし、再オープンして半年余りで未知のウイルスが蔓延まんえんした。昨春に1か月間休業。再開後、月数百万円あった売り上げは3分の1以下に激減した。

 大阪市全域の飲食店を対象に営業時間の短縮が要請されるようになった昨年12月以降、状況は悪化し、3月初旬から再び休業。3回目の緊急事態宣言を受けて4月25日から酒類の提供が禁止されると、再開のめどが立たなくなった。「開けても赤字が出るだけ。居酒屋が酒を出すなと言われて、何を売るねん、と思う」

 常連客からは「いつ再開するの」と電話がかかってくるが、「貼り紙でお知らせします」と答えるのが精いっぱいだ。

 4人いた従業員のうちアルバイトらを除く2人には、休業中も給料を払い続けた。1日4万~6万円が支給される大阪府、大阪市の協力金なども受け取ったが、100万円以上かかる人件費や光熱費などの維持費に消え、店舗改装費のローンものしかかる。

 さらに酒店でも、取引先約40店からの注文がほとんどなくなり、売り上げは4月の宣言前から9割減少した。大型連休前に仕入れた生ビールや瓶ビールは、今も在庫として抱えている。

 緊急事態宣言は20日に期限を迎える。酒類提供の禁止などが緩和されるかは見通せない。半田さんは訴える。「酒が一方的に悪者にされているが、酒で感染するわけではない。感染対策をしっかりとった店には、営業を認めてほしい」

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2117560 1 ニュース 2021/06/11 15:00:00 2021/06/11 15:00:00 2021/06/11 15:00:00 休業中の「酒房 半田屋」(8日午後4時18分、大阪市浪速区で)=宇那木健一撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210611-OYO1I50006-T.jpg?type=thumbnail

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