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大阪北部地震から3年、危険な塀の撤去に自治体で差…民間所有多く、出費がネック

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大阪北部地震で通学路沿いの塀が崩れ、男性が亡くなった現場(2018年6月18日、大阪市東淀川区で)
大阪北部地震で通学路沿いの塀が崩れ、男性が亡くなった現場(2018年6月18日、大阪市東淀川区で)

 大阪北部地震では学校や通学路のブロック塀が各地で倒壊し、子どもらに身近な場所の危険性が浮き彫りになった。学校施設では国が主導して安全点検や撤去・改修が進む一方、通学路の対策は自治体任せになっており、地域によって取り組みに差がある。(羽尻拓史)

■補助制度

 大阪府内では、高槻市立 寿栄じゅえい 小以外にも、大阪市東淀川区で通学路沿いの民家の塀が倒壊し、見守り活動の男性(当時80歳)が亡くなる事故が起きた。

 読売新聞は地震から3年となるのに合わせ、全国20政令市に、通学路のブロック塀対策について取材。札幌、岡山両市を除く18市が危険箇所を集計し、うち12市が、撤去・改修の近況をとりまとめていた。

 大阪市では地震直後に各学校の教職員が通学路を目視で確認し、1045か所でひび割れや傾きなどを確認。詳しい調査の結果、安全性に特に問題があるとされた56か所について、優先的に解消に取り組む。

 通学路沿いのブロック塀のほとんどは民間所有のため、自治体は強制的に撤去などはできず、所有者に対応してもらうしかない。同市では北部地震後に撤去・改修の補助制度を創設。所有者に繰り返し改善を求めた結果、昨年12月時点で13か所に減った。

 補助制度は全国の52%にあたる912市区町村が設けているが、補助額は撤去・改修費用の一部にとどまり、大阪市の担当者は「出費がネックとなり、なかなか応じてもらえないケースもある」と話す。

 小学生らが塀の下敷きになって死亡した1978年の宮城県沖地震を受けて、仙台市は積極的に対策に取り組んできた。通学路を含む全ての公道を調査し、今年3月時点で49か所が残っており、場所を記した地図を市のホームページ(HP)で公開して注意を呼びかけている。

■現状把握せず

 通学路のブロック塀対策は、自治体によってまちまちだ。

 横浜市では北部地震後、市内の小学校通学路で、建築基準法に合致しないブロック塀を全て調査し、2100か所を確認。今年3月末までに371か所の撤去・改修を終えた。

 神戸市では小中学校区で問題がある可能性のあるブロック塀を181か所ピックアップしたが、このうち180か所は直ちに危険性はないと判断し、継続して改善を求めているのは1か所のみだ。

 新潟や浜松など6市では、地震直後に問題のあるブロック塀数を集計したものの、その後どれだけ解消されたかは把握していない。対応は自治体任せになっている上、自治体では担当する職員の数に限りがあり、できる範囲で取り組んでいるという事情がある。

 最知正芳・東北工業大名誉教授(建築生産工学)は「ブロック塀はわずかなひび割れでも倒壊しやすくなるが、自治体ごとに独自の基準で危険性を判断しており、解消に向けた取り組みにむらが出ている。国が統一の基準を示し、音頭を取って自治体に調査を促すべきだ」と指摘する。

学校施設は対策進む

 文部科学省は地震後、全国の国公私立小中高などにあるブロック塀の安全対策について調査を実施。全5万1082校のうち、昨年9月時点で安全点検や撤去・改修などの対策を終えていなかったのは4285校だった。2019年4月時点の9454校から1年半で半減したものの、8・4%が残る。

 国は18年11月、学校施設のブロック塀撤去・改修などのため、232億円の交付金を計上。19年3月には学校向けの耐震点検ガイドブックにブロック塀のチェック項目を新たに盛り込むなど、対策も強化した。文科省の担当者は「できるだけ速やかに、全ての学校で安全を確保したい」としている。

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2135573 1 ニュース 2021/06/18 15:00:00 2021/06/18 15:00:00 2021/06/18 15:00:00 大阪震度6弱。ブロック塀が崩れ、安井實さんが亡くなった現場。大阪市東淀川区で。2018年6月18日撮影 同月19日東京朝刊掲載 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210618-OYO1I50011-T.jpg?type=thumbnail

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