読売新聞オンライン

メニュー

女子ゴルフの笹生Vを支えたアイアン、スイング解析し丹念に調整…兵庫・市川町のメーカー

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

手作業で丹念に仕上げられるアイアンヘッド(兵庫県市川町で)=東直哉撮影
手作業で丹念に仕上げられるアイアンヘッド(兵庫県市川町で)=東直哉撮影
三浦技研製のアイアンを手に世界で戦う笹生選手(6日の全米女子オープンで)=USAトゥデー
三浦技研製のアイアンを手に世界で戦う笹生選手(6日の全米女子オープンで)=USAトゥデー

 山あいにある従業員30人のメーカーが作ったゴルフクラブが、女子ゴルフのメジャー大会を制した。全米女子オープンで史上最年少優勝を果たした 笹生さそう 優花選手(20)が手にしたのは、日本のアイアンヘッド発祥の地である兵庫県市川町で生まれたアイアンだった。(編集委員 河村真司)

 6月6日の大会最終日。2位でスタートした笹生選手は序盤に崩れ、首位と6打差まで広がったが、中盤以降は盛り返した。9番で深いラフからグリーンに乗せ、13番ではティーショットでピンそばにつけるなど、随所でアイアンショットがさえを見せ、プレーオフの末、栄冠に輝いた。

 アイアンは鉄などの金属製だ。クラブによって地面と打球面の角度が異なり、同じ力で振っても飛距離が変わるように作られる。

 笹生選手が使うのは、市川町の三浦技研が製造する「TC―101」だ。知人の紹介で昨春から愛用している。同社担当者が専用の測定器でスイングを解析し、笹生選手の感覚も聞き取って市販品を調整した。

 創業者の三浦勝弘会長(78)も、ボールがまっすぐ飛ぶよう、自らヘッドの底面を研磨した。出来上がった専用アイアンを武器に、笹生選手は昨年8月、日本のツアーで初優勝した。

 1977年創業の三浦技研は、加熱した鉄をプレス機でたたいて加圧する「鍛造」という製法を用いる。鋳型に溶かした鉄を流す「鋳造」より密度が高まり、均一化する利点がある。

 加圧は通常の2回に対し、三浦技研は3回。加熱温度も3回目だけ300度低い900度にするなどきめ細かい作業を心がける。三浦会長は「同じ条件で使えば、同じ結果を出すクラブを作ることが使命」と話す。

 20日で20歳になった笹生選手の次戦は24日からの全米女子プロ選手権の予定。メジャー2連勝を目指す若きプロゴルファーを職人こだわりの用具が支える。

刀鍛冶の技術生かす

 1930年に国内で初めてアイアンヘッドの量産化に成功したのが、兵庫県市川町の鍛冶工だった。

 同県三木市でゴルフ場が造成されるのに伴い、県工業試験場三木分場の研究員が、当時の川辺村(市川町西川辺)の鍛冶工にアイアンの製造を依頼。刀鍛冶の流れをくむ鉄の鍛造技術が生かされたという。

 以来、地場産業として定着。市川町内のゴルフ関連企業は十数社に上り、同町のふるさと納税でも人気だ。2020年度の寄付金約3億6000万円のうち、約1億4000万円は返礼品の希望がアイアンを含むゴルフクラブだった。

無断転載・複製を禁じます
2149245 0 ニュース 2021/06/23 15:00:00 2021/06/23 15:00:00 2021/06/23 15:00:00 アイアンヘッドのヘッドマークに手作業で着色していく三浦技研の従業員(6月17日、兵庫県市川町で)=東直哉撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210623-OYO1I50001-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)