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原発30キロ圏に28万人、避難計画に課題…関電美浜3号機再稼働、地元経済は期待感

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 関西電力美浜原子力発電所3号機(福井県美浜町)が23日、運転開始から40年を超える原発として国内で初めて再稼働した。再稼働に同意した福井県の杉本達治知事は、安全運転の徹底を関電に要請しつつ、地域経済に好影響をもたらすことに期待感を示した。一方で、万一の事故に備え、避難計画の実効性確保などの課題も残されている。

 「無事に起動できて 安堵あんど している。安定的に運転すれば地元経済に継続してプラスの効果が及ぶ」。杉本知事は23日、報道陣の取材に応じ、再稼働を歓迎した。

 2011年の東京電力福島第一原発事故後、原発の運転は原則40年と定められ、原子力規制委員会から認可を受けた場合は最長20年間延長できるようになった。原発の長期活用に道をひらく一方で、「40年超」の原発には一層の安全性の確保が求められることになる。

 杉本知事は「関電は作業を丁寧に行い、安全運転に努めてもらいたい」と注文。原発の管理状況を聞き取るために実施している関電とのテレビ会議を当面、1日1回から2回に増やし、監視を強める考えを示した。

 県は今後、事故が起きた場合の備えも強化する方針だ。事故時に即時避難が求められる5キロ圏内の「予防的防護措置準備区域」の人口は848人。放射線量に応じて避難する30キロ圏内の「緊急時防護措置準備区域」の人口は滋賀、岐阜両県を含めた3県で約28万人に上り、高浜原発(福井県高浜町)の約17万人、大飯原発(同県おおい町)の約16万人より10万人以上多い。

 国や3県が今年1月に作成した広域避難計画では、福井県内の大半の住民はマイカーで避難すると想定しているが、車のない約1万1300人を避難させるため、バス256台が必要になると試算。協定を結ぶ県バス協会には895台があり、県は「必要台数は確保できる」とする。だが、大雪や地震が重なる「複合災害」が起きた場合、渋滞や立ち往生も予想される。県は今後、訓練などで対応策を検討する考えだ。

 事故時には、バスの運転手は 被曝ひばく の恐れがある地域を走ることにもなる。バス30台を保有する「敦賀海陸運輸」(同県敦賀市)は「できる限り協力したいが、県は運転手の安全確保に配慮してほしい」と要望する。

 避難に支援が必要な在宅の高齢者らは約8500人に上るが、一人一人の避難を誰が担うかを定めた「個別計画」作りの 進捗しんちょく は自治体によってばらつきがある。同県敦賀市では、要支援者約3000人のうち、手助けする人を確保できたのは2割に満たない。

 県北部の一部が30キロ圏内に入る滋賀県の三日月大造知事は23日に発表したコメントで、避難体制などの整備が不十分だと指摘した上で、「県民の不安も一掃されておらず、再稼働を容認できる環境にない」とし、再稼働に反対する姿勢を改めて示した。

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2151547 0 ニュース 2021/06/24 06:00:00 2021/06/24 06:00:00 2021/06/24 06:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210624-OYO1I50001-T.jpg?type=thumbnail

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