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JR西日本は28日、10月2日に実施するダイヤ改正の詳細を発表した。最大で1日あたり21路線127本を減便する。全体の運行本数の約1%にあたる。JR西では例年春にのみダイヤ改正を行っており、秋の実施は15年ぶり。新型コロナウイルスによる業績悪化に伴うもので、運行コストの削減を図る。
減便の対象は、主に乗車率が定員の5~20%の在来線(特急を除く)。エリア別では、近畿60本、山陰20本、瀬戸内17本などとなっている。
便数の削減幅が大きいのは地方の路線で、小浜線敦賀―小浜間は平日30本から24本と2割削減される。紀勢線新宮―紀伊勝浦間も土日・祝日の23本が19本へと17%の削減が図られる。
近畿では、北陸線米原駅の長浜方面、山陽線上郡駅の相生・姫路方面などで日中に3~5時間程度、1時間あたりの運行が1本しかなくなる時間帯が生じる。
ダイヤ改正は通常、路線がつながる複数の社で調整が必要なため、JRグループ全体で春に行う。今秋の改正は、他社に影響がない範囲で来春の改正を先取りしたもので、JR西の長谷川一明社長は「コロナの影響で鉄道利用が落ち込み、一刻も早く日々の輸送効率の適正化を図る必要がある」と改正を急いだ理由を説明している。来春の改正でもさらに減便を進める見通し。
JR西の2020年度の利用客数は5年前の6~7割に減少し、同年度の連結最終利益は過去最悪となる2000億円超の赤字となった。昨年5月から2度にわたり、乗務員や本社社員ら最大約1400人について、雇用したまま休ませる「一時帰休」の措置を取ったほか、自治体やメーカーへの出向も進めている。
沿線自治体懸念深める
JR西日本は今春のダイヤ改正でも1日約300本の減便を実施しており、今回と合わせると1日計約430本の大幅な減便となる。コロナ収束後に便数を戻すかどうかは明言しておらず、沿線の自治体は利便性低下への懸念を深めている。
福井県内では今回、小浜線のほか、福井市と大野市を結ぶ越美北線が減便の対象となった。7月にJR西の本社を訪れて、運行本数の維持を要望していた同県の杉本達治知事は「減便は極めて遺憾だ。コロナ収束後には運行本数を速やかに回復するよう強く求めていく」とのコメントを出した。
芸備線の広島県庄原市と岡山県新見市を結ぶ区間(約75キロ)は、今後、JR西と地元自治体の間で路線維持の方策について協議が始まる予定となっている。今回は1日1本の減便にとどまったが、庄原市の担当者は「さらに減便が進むと、日常生活にも影響することが懸念される。市民に利用を呼びかけて、芸備線を守っていきたい」と話した。