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「第60回関西財界セミナー」(関西経済連合会、関西経済同友会主催)が8日、始まった。「関西を起点に反転へ~フロンティアに立つ覚悟~」をテーマに、六つの分科会が開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、2025年大阪・関西万博や脱炭素の取り組みを起爆剤に経済を再浮上させるための提案が相次いだ。9日も議論を続け、成果をまとめた主催者声明を出して終了する。
レガシー
大阪市内の会場には、議事進行を担う分科会の議長など限られたメンバーだけが集まり、多くはオンラインで参加した。
25年大阪・関西万博がテーマとなった分科会では、次世代に残すべき「レガシー」(遺産)について議論になった。参加者からは、技術革新が生まれる舞台を提供し、新規事業の創出や社会課題の解決につなげていくべきだとの意見が相次いだ。

りそな銀行の岡橋達哉副社長は「万博をきっかけに生まれる技術を共有できる仕組みができれば、新興企業が育つ土壌になる」と指摘した。関西・大阪21世紀協会の崎元利樹理事長は、「生命科学などいのちをテーマにした国際会議を行い、万博後も定期的に開催してはどうか」との考えを示した。
一方、関西経済連合会の松本正義会長は「社会課題の解決が本来の万博の趣旨だが、現状では、国威発揚の側面が強まっている。どんな形の万博にするのか、日本国際博覧会協会は、経済界にもよく説明してほしい」と注文を付けた。
産官学連携
脱炭素がテーマの分科会では、関西電力の稲田浩二副社長がエネルギーの安定供給との両立について「再生可能エネルギーは当然として、原子力の活用を踏まえたバランスの取れた電源構成を目指さなければいけない」と強調した。
堀場製作所の足立正之社長は「国内には素晴らしい関連の技術、研究があるが、産官学で連携して社会実装を加速しなければ、国内でも日の目を見ないかもしれない」と危機感を募らせた。
ITで成功
コロナ禍など経営リスクへの対応についても話し合われた。
パナソニックの宮部義幸・専務執行役員は、新型コロナの感染拡大で海外の取引先工場の操業停止が相次いだことを明かし、「サプライチェーン(供給網)は拡大一途でいいのか考え直すことも必要だ」と述べた。
ダイキン工業の高橋孝一・専務執行役員は「危機を迎えている時こそ、その後の社会の変化を見据えた、投資などの仕込みが重要になる」と語った。
コロナへの対応が経営にプラスになったとの報告もあった。日立造船の谷所敬会長は、タイのごみ焼却プラントを試運転する際に、日本から監督者を派遣できなかったが、IT(情報技術)を使った遠隔対応がうまくいった事例を紹介。「他の海外案件にも同じやり方を広げることができ、新たなコストダウン策を確立できた」と話した。
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