庁舎と代替施設の耐震化「両立」に遅れ/片方のみ完了…3分の1

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

熊本地震で大きく損壊した熊本県宇土市役所の庁舎(2016年4月)
熊本地震で大きく損壊した熊本県宇土市役所の庁舎(2016年4月)
和歌山県御坊市役所では昨年12月の地震後、来庁者用のヘルメットを配備。左奥は使用禁止が続く階段
和歌山県御坊市役所では昨年12月の地震後、来庁者用のヘルメットを配備。左奥は使用禁止が続く階段

 震度7を2度観測した6年前の熊本地震では、熊本県内で5市町の庁舎が損壊して使えなくなった。総務省消防庁は、災害対策の拠点となる庁舎と代替施設の両方の耐震化を求めているが、全国1741市区町村のうち、満たせていない市区町村は3分の1に上る。財政基盤の弱い市町村で整備の遅れが目立っており、消防庁は支援を強化し、早急な対応を促している。(大田魁人、相間美菜子)

 「財源さえあればもっと早くに建て替えられた」

 熊本県宇土市の元松茂樹市長は、熊本地震で被災した庁舎(5階建て)に代わるプレハブの臨時庁舎で読売新聞の取材に応じ、対応の遅れを悔やんだ。

 庁舎は1965年築。地震で4階の柱がくの字に折れた。数十億円の財源の見通しがたたず、10年以上建て替えを先延ばしにし、方針が決まったのは地震の1か月前だった。隣接の庁舎別館も危険性を考えて使えず、初動が遅れた。

 元松市長は「地震前は熊本は大丈夫との思いが、どこかにあった」と語る。来年1月に完成予定の新庁舎は震度7に耐える構造だ。

 庁舎が使用不能になった5市町のうち、4市町は耐震化されていない築40年以上の「老朽庁舎」。災害対応は公民館や体育館などで行われた。

 危険をはらむ老朽庁舎は熊本だけではない。

 築約50年の和歌山県御坊市役所は昨年12月、震度5弱で窓ガラス42枚がひび割れるなどの被害が出た。庁舎は利用されているが、階段の一部は使用禁止。来庁者用のヘルメット約160個を庁内に備えている。

 建設中の新庁舎では2024年1月に業務開始予定で、市の担当者は「それまで大きな地震が起きないことを祈るしかない」と話す。

厳しい財政負担大きく

 消防庁は神戸市や兵庫県西宮市の庁舎が被災した阪神大震災(1995年)を機に、震度6強程度でも倒壊しない拠点施設の耐震化を求めた。2002年からはほぼ毎年、進捗状況の調査を行い、自治体に庁舎と代替施設の対策を促してきた。

 昨年10月に同庁が公表した調査報告書によると、庁舎、代替施設両方の耐震工事を済ませた市区町村は1123。どちらか一方の耐震化にとどまる市区町村は593あり、いずれも実施していない自治体は25市町村あった。

 読売新聞が今月、この25市町村に消防庁の調査後の対応を取材したところ、19市町村で耐震化を進めていたが、6町村は今も手付かずの状態だった。

 福井県若狭町では、合併前から使用している二つの庁舎を災害対策本部と代替施設に使うことを決めているが、いずれも40年以上前に建てられ、耐震基準を満たしていない。町総務課は「移転しようにも利便性の高い場所に土地がなく、財政状況も厳しい。見通しが全く立たない」と明かす。

 耐震化には、国の補助金や各自治体の基金などが使われる。消防庁も補強工事に限定した補助を、昨年8月からは建て替えの一部にも拡大し、活用を促す。一方で、財政基盤の弱い市町村の負担は大きい。京都府笠置町は2月に庁舎の耐震補強工事を終えたが、代替施設をどこにするかは決まっていない。町総務財政課の担当者は「補強だけで精いっぱい」と話す。

 熊本地震では、耐震基準を満たした熊本県益城町の庁舎が被災したが、耐震性のある代替施設の保健福祉センターは無事で、活用できた。

 消防庁防災課は「市町村の庁舎や代替施設は災害時の拠点となるほか、日頃から多くの人が出入りする。高い安全性が必要であることを意識し、対策を急いでほしい」とする。

スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
2929373 0 ニュース 2022/04/17 06:00:00 2022/04/17 06:00:00 2022/04/17 06:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/04/20220417-OYO1I50000-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)