ロシア語「今こそ学ぶ意義」…学会が異例の声明

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 ウクライナに侵攻したロシアへの非難が強まる中、ロシアの言語や文学などの研究者が、学生に学ぶ意義を説く異例のメッセージを出している。現地留学の見通しが立たなくなった学生もいるが、ロシア文化への偏見が助長されかねない今こそ、「相互理解が重要」と訴えている。(三味寛弥)

 「『なぜ、自分はこんなことをする国の言語や文化を学ぶのか』と悩み、その選択を後悔している人もいるかもしれません」

 日本ロシア文学会(会員数約450人)は3月中旬、声明を発表した。「ロシア語で書かれた文学や思想の多くは、昔から、権力が生み出す不条理に抗し、これを批判してきた」と強調。「ロシア文学・文化の担い手たちをさらなる孤独へと追いやらないためにも、『国家』の枠組みを超え、互いにつながっていこうとすることが大切だ」とした。

 同会会長の中村唯史・京都大教授(56)は、1990~92年にモスクワ大に留学し、ソ連の崩壊を目の当たりにした経験を踏まえ、「言語を学んで現地の人の声を聞くことから対話が生まれる。教育や文化の交流を絶やしてはいけない」と訴える。

 同会によると、ロシア文化サークルに脅迫メールが寄せられた大学もあり、学生に不安が広がる。「日露大学協会」は、両国間の学生交流やセミナーなどの活動を当面中止した。

 留学を見合わせる学生もいる。神戸市外国語大ロシア学科で学ぶ増田菜都子さん(22)は、2月末からモスクワ大に留学する予定だったが、侵攻を受けて取りやめた。現在、大阪市の自宅でモスクワ大の授業をリモートで受けている。

 現地の講師が侵攻に触れることはない。一方、日頃からネットで互いの言語を教え合っている同年代のロシア人は、侵攻について「本当に申し訳ない」「ロシア人として恥ずかしい」と口にするという。増田さんは「ロシアで暮らす一般の人々の心が傷付き、誇りを失いかけていることに胸が締め付けられた」と話す。

 ロシアの経済や治安への不安は消えず、渡航の見通しは立たないが、「現地の人の暮らしや価値観を直接学び、理解を深めたい」と力を込める。

 神戸市外大では約200人がロシア学科に所属。現地留学を断念した学生もいるという。教員らはホームページなどで、「 毅然きぜん とした態度で前を向いて学習を続けてください」と励ましている。

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