障害者向け水害マップ、作成市町村は2.6%に低迷

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ハザードマップの音声版を聞く植田さん(京都府福知山市で)
ハザードマップの音声版を聞く植田さん(京都府福知山市で)

 目や耳が不自由な障害者向けに点字や動画、音声などを使った水害ハザードマップを作成している市区町村が、わずか2・6%と低迷している。頻発する水害への対策として、国土交通省は、先進事例をモデルとして、各自治体に作成を促す方針だ。

音声版製作

 京都府福知山市は昨年4月、「総合防災ハザードマップ」の音声版を作成し、ホームページ(HP)で公開している。

 市内に住む視覚障害者の植田文男さん(74)は、約4500戸が床上・床下浸水した2014年8月の豪雨災害で、アパート1階の自宅で胸まで水につかったが、ボートで救助された。「当時は避難場所も知らず、どうすることもできなかった」と振り返る。

 4年前に一般向けハザードマップを作った市は、視覚障害者団体の要望を受け音声版を製作。HPのファイルをクリックすると地区ごとの浸水想定区域や土砂災害警戒区域などが読み上げられる。ファイルは携帯電話などに保存もできる。

 植田さんは「前もって危険を把握できるので、いざという時の行動に役立てられる」と話す。

 東京都大田区は、20年9月に地形の高低差を実際の25倍に拡大した立体地図を作成した。多くの人が一目で分かるように工夫したが、視覚障害者が触って分かる先進的な地図の事例としても国交省が注目している。区防災危機管理課では「直感的に浸水リスクを正しく理解してもらいたい」としている。

手引を改定

 しかし、こうした取り組みは広がっていない。

 国交省によると、洪水用のハザードマップは21年7月現在、98%の市区町村で作成済みだ。

 一方、国交省の調査に回答した1591市区町村のうち点字や音声、手話動画などを使って水害ハザードマップを作ったのは41市区町村と、全体の2・6%にとどまった。9割以上が「作成の予定なし」と答え、障害者の危険な状況への認識が、自治体に共有されていない実態が浮き彫りとなった。「どのような情報を提供すればいいのか分からない」との声もあったという。

 遅れる自治体をカバーしようと動く市民団体もある。

 兵庫県で活動する視覚障害者支援団体「眼の会」(神戸市)は、ハザードマップに載る避難所や浸水想定区域などの詳細情報を自治体から聞き取り、会員に伝える事業を実施する。会長の榊原道真さん(68)は「会員が自宅からスムーズに避難できるよう始めた。行政は障害者の声を反映させたマップ作成を急ぐべきだ」と話している。

 国交省は昨年12月、有識者による検討会を設置。現行の「水害ハザードマップ作成の手引き」を22年度末に改定し、視覚障害者向けのマップ作成のノウハウを盛り込む方針だ。

水害ハザードマップ

 洪水や高潮、津波が発生した場合に備え、浸水想定区域や水深、避難場所といった情報を示した地図。水防法などで市区町村に作成が義務付けられている。

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