CO2の回収・貯留技術、関西の企業でも開発進む

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 世界的な脱炭素の機運の高まりを受け、排出された二酸化炭素(CO2)を回収したり貯留したりする技術「CCS」に注目が集まっている。鉄鋼や電力などCO2の排出を減らすのが難しい産業での活用が期待されるからだ。国も普及に向けて動き出しており、関西の企業でも技術開発が進んでいる。(吉田雄人、寺田航)

◇省エネ

 川崎重工業は今年度から、石炭を使っている関西電力の舞鶴発電所で、排気からCO2を分離し、90%の回収を目指す実証実験を始める。専用設備の設計や建設を担い、回収には川重製の固体吸収材を用いることで、一般的な液体式に比べてコストを大幅に抑えられるという。

 日本はエネルギーの安定供給のため、一定程度の石炭火力は不可欠としている。国のエネルギー基本計画で、総発電量における石炭火力の割合は2030年度で19%を占める。CO2排出量を抑えるには、CCSが有力な解決策になるとみられている。

 より効率的なCO2の回収システムの開発を続けているのが三洋化成工業だ。化学物質の「アミン」を含む液体を使った一般的な手法とは異なり、「イオン液体」を利用した回収に取り組む。熱を加えずにCO2を吸収したり、分離したりすることが可能になるため、省エネにつなげられるのが特徴だ。実用化に向けてプラントメーカーと研究を進めている。

◇国も補助検討

 回収したCO2を有効利用する取り組みもある。

 日立造船は、CO2を水素(H2)と反応させ、燃料となる「メタン(CH4)」を生み出す技術を開発した。メタンは天然ガスの主成分で、ガス管などの既存の設備が使える利点がある。実証実験中の神奈川県小田原市のゴミ焼却施設が5月下旬に本格稼働する予定で、三野禎男社長は「メタンは都市ガスの代替になる」と強調する。

 調査会社の矢野経済研究所は、CCS技術で2020年度に回収したCO2量は45万トンにとどまる一方、30年度には300万トンまで拡大すると予測する。

 CCSを巡っては、経済産業省が今年4月、技術の普及に向けた工程表の骨子を公表し、補助制度の導入を検討する方針を盛り込んだ。

 国内では今月10日、石油元売り大手のエネオスホールディングスと電源開発が、30年までの事業化に向けて西日本近海の海底を念頭にCO2の貯留候補地の検討を始めると発表している。

CCS  「二酸化炭素(Carbon dioxide)の回収(Capture)と貯留(Storage)」の頭文字を取った。利用(Utilization)を加え「CCUS」と呼ぶこともある。調査研究機関「グローバルCCSインスティテュート」によると、天然ガスの精製や火力発電所、製鉄所などの排ガスを対象に、世界で約30施設が稼働している。

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