施設の高校生 受験費用支援…大阪の団体 「夢をあきらめないで」1人7万円

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 虐待や貧困などの理由で児童養護施設で暮らす高校生らの進学を支援するため、大阪市の一般社団法人「ゆめさぽ」が、大学の受験料を支給する取り組みを始めた。入学後の授業料などは奨学金が使えるが、受験料は対象ではなく、経済的な理由から受験を断念するケースがある。自身も施設で育った代表理事の田中れいかさん(26)は「どんな生い立ちでも、夢をあきらめないで」と呼びかけている。(福田友紀子)

 「お金が心配で迷っていた大学にも出願でき、安心して受験に臨めた」。ゆめさぽの支援を受け、今春から関西地方の大学に通う女性(18)は、そう振り返る。

 女性は、母親に精神疾患があり、父親だけでは養育が難しかったことから、5歳の時に大阪府内の児童養護施設に預けられた。進学を希望したが、両親に頼ることは難しかった。

 志望する国公立大の受験料は用意できたが、私立を受ける余裕はなかった。もし浪人すると、奨学金を受けられない。国公立一本で合格できるかプレッシャーがあった。そんな時、施設の職員からゆめさぽの「進学応援プロジェクト」を聞いた。

 プロジェクトは、施設や里親家庭で暮らす子どもたちが、経済的な理由で夢を諦めないで済むよう、大学の受験料や会場までの交通費など1人7万円を支給する取り組みだ。受験料に着目したのは、大学の授業料や進学後の生活費を支える奨学金はあるが、受験段階の支援が乏しかったため。施設で暮らす高校生には、国や都道府県から教育費として「特別育成費」(月2~3万円)などが支給されるが、授業料などに使われるため、複数校を受ける受験料を捻出するのは難しいことが多いという。

 今春の入学を目指していた受験生を対象に初めて募集し、府内の企業や個人からの寄付を原資に、45人に計315万円を支給。女性は国公立と私立の計3校を受験し、2校に合格した。

■自身も施設で育つ

田中れいかさん
田中れいかさん

 ゆめさぽ代表理事の田中さんは幼い頃に両親が離婚し、父ときょうだい3人で暮らしていたが、父親から暴言を受けるなどし、7歳から18歳まで東京都内の児童養護施設で暮らした。

 退所後、短大に進学したが、モデルの夢を諦めきれず、ミス・ユニバースの茨城県大会に挑戦。準グランプリと特別賞を受賞し、現在はモデル業をしながら、自身の経験をSNSや講演などで発信している。

 施設の友人の中には、経済的な理由で夢をあきらめた人も多かった。そんな思いをしてほしくないと、児童養護施設の元職員らとともに2020年12月にゆめさぽを結成した。

 田中さんは「誰だって好きな自分になれる。一人でも多く夢が実現できるよう手助けしたい」と語った。

経済面に不安進学17.8%…厚労省調査

 施設などで育った社会的養護経験者は「ケアリーバー」と呼ばれる。原則18歳で自立が求められ、多くが経済面で不安を抱えている。

 厚生労働省の調査では、2020年春に高校を卒業した児童養護施設の出身者で、大学や短大などに進学したのは17・8%。高卒者全体の進学率(52・7%)を大幅に下回っている。

 施設に入所する高校生に、大学等への進学希望を聞いた調査(18年)では、1年生は「希望する」が32・7%で「希望しない」(30%)を上回っていたが、2年生で逆転。3年生(定時制高4年を含む)では43・7%が「希望しない」で、「希望する」(27・3%)の1・6倍に上った。経済的な問題に直面し、断念するケースが多いとみられる。

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