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大学の将来像を語る桜井学長(高知市で)
大学の将来像を語る桜井学長(高知市で)

 ◇高知大学学長 桜井克年さん61

 少子高齢化が進み、全国の地方大学で果たすべき役割の模索が続いている。高知大学はいち早く、学生たちが地域に入り込んで課題解決までをする日本で初めての地域協働学部を設置するなど組織改編に着手し、「地域のための大学」に変貌へんぼうを遂げた。先頭に立って改革に取り組み、今春、学長に就任したのは桜井克年さん。その活動の原点には、「土」があるという。

 土とともに生きてきた人生だった。奈良県境に位置する大阪府交野市で育った。緑豊かな生駒の峰をはるかに望む自然豊かな土地で、幼い頃は、文字通り野山を駆けめぐる毎日だったという。小学生の時、ひょんなことからスギやヒノキの植林をすることに。土に触れ、苗木の植林作業を手伝った経験が、後の研究につながっていく。

 大阪府立四條畷高に進学。外交官などを夢見たこともあったが、「人を裁いたりする法律がどうも性に合わないし、血を見るのは嫌だから医学部もどうかなあ。物理法則を数式で表現する世界にはついていけない」などと、“消去法”で選択したのが、京大農学部農芸化学科だった。

 学生時代はフィールドワーク中心の日々。土壌学の面白さにのめり込み、研究者の道に進んだ。全国津々浦々、足を運ぶ現場主義がモットーとなった。地味な学問分野と思われがちな土壌学だが、「土壌の豊かさこそが、人々の経済的な豊かさを左右する」と気付かされた。

 1989年、京大助手からポストを得て高知大に赴任した。恩師からは「土はどこにでもある。どこで研究をしていても同じだ」と言われ、肝を据えた。教育者としてずっと大切にしてきたことは、人を育てること。ゼミはいつも活気にあふれていた。主な研究フィールドを東南アジアに据え、学生を派遣するためにも、研究費獲得に奔走した。

 国立大学法人化され、理事(総務・国際交流担当)という管理職になってからは、大学の組織改編に注力。地域協働学部創設のほか、人文社会科学部、教育学部、理工学部、農林海洋科学部が新たに生まれ変わった。「地域の大学」として、活性化を支えていく組織体制が整ったという。

 これからの大学運営の理念を、「スーパー・リージョナル・ユニバーシティー」という言葉で表現する。「地域と密着した大学」への進化を目指している。米国第16代大統領エイブラハム・リンカーンの「人民の、人民による、人民のための政治」という演説になぞらえ、「高知県の、高知大学による、高知県民のための大学」になると力強く語る。大学を、学生たちを育む沃野よくやとするため、変革を続ける決意はこれからも変わらない。

    

     

 ◆取材後記 ◇「社会に役立つ人に育って」

 「半分ぐらいは難関大を落ちたとかいう学生で、高知大が第1志望校じゃない。でも、縁があって高知大に来たのだから、何かを学びとって社会に役立つ人材に育ってほしい。『あの人じゃなけりゃ駄目だね』って言われる人を育てたい」。取材では、国立大学の学長とは思えない、とても率直な言葉で本音を語ってくれました。

 学生時代はコーラス部で喉を鍛えた。「入学式では学生100人分ぐらいの大声で学歌を歌いますよ」と明かす。敬虔けいけんなクリスチャンで、好きな言葉は「神は愛なり」。愛あるまなざしで大学の将来像を見つめるその表情には柔和さがあふれている。(磯江祐介)

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37729 0 人あり 2018/08/23 05:00:00 2018/08/23 05:00:00 大学の将来像を語る桜井学長(高知市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180822-OYTAI50011-T.jpg?type=thumbnail

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