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若いスタッフと気さくに言葉を交わす今村さん(高知市で)
若いスタッフと気さくに言葉を交わす今村さん(高知市で)

高知市社会福祉協議会職員  今村文哉(あや)さん37

 高知市社会福祉協議会に福祉専門職として採用され、まもなく10年。誰もが暮らしやすい地域づくりを、同僚や住民と協力しながら進めている。

 2013年、社協内にできた「生活支援相談センター」の〈1期生〉。依存症や貧困で行き詰まった人たちの駆け込み寺で、従来の高齢者、障害者など「縦割り」の仕組みを超えようと頑張った。

 最初は「仕事も金も泊まる所もない」という相談者を市役所に伴って生活保護の手続きをし、ビジネスホテルに片っ端から電話をかけた。それ以上のことをしたくても、使えるお金もノウハウもなかった。

 「目の前に困っている人がいるのに、といつも歯がゆかった」。同僚と議論しながら、一定期間暮らすことができるシェルターを確保するなどし、立ち直る相談者を少しずつ増やしていった。今では全国でも知られるようになった同センターの3原則「断らない・あきらめない・投げ出さない」も、そうした中から生まれた。

 立ち直って地域で暮らすようになった人を定期的に訪問するうち、気づいたことがある。就職して生計のめどがついても、孤立したままでは先が続かないのだ。「この人たちを本当に支えるのは、地域の人とのつながりや温かさではないか」

 3年前に地域協働課に異動。「地域福祉コーディネーター」として、潮江・春野両地区など市南部を回り、地区社協や民生委員、町内会など各種団体の会員らと「困っていること・やりたいこと」を出し合う。低地が多いだけに、会合では必ず防災が話題に上るが、「とにかく自分たちでやれることを」と繰り返してきた。

 「地域づくりは住民自身が動くことから」と信じている。避難訓練をしてみて初めて、計画の欠点が見えてくる。訓練を重ねて何度も作り直してこそ、万一の場合に役立つ計画になる。

 「『高齢者サロンに出てこない人が心配』など周囲を気遣う声をよく聞きます。でも、私は緊急の場合以外、訪問することはしません。家族や近所付き合いについて質問するなどして、できるだけ相手に動いてもらうんです」

 「自分たちの仕事は活動する仲間を増やすこと」と力説する背景には、センター時代の体験がある。「相談者は周囲への負い目から黙っているけど、内心では人の役に立ちたいと思っています」。民生委員の世話で、町内会のごみ出しを手伝うことから立ち直った人もいるという。

 土佐郡鏡村(現高知市)に生まれ、民生委員だった母親が高齢者宅を訪問する姿を見ながら、将来の夢を育んだ。高知女子大(現県立大)で社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取り、徳島県の精神科病院に就職した。

 結婚と出産を経てシングルマザーになり、帰郷して09年から市社協で働く。「子どもを保育園に入れ、とにかく自分が働くしかなかった。一番つらい時代に採用されたことに感謝し、つらい立場の人たちが少しでも安らげる社会を作りたい」と力を込めた。

◆「孤立させない」県内でも

 社会福祉協議会(社協)は全国の都道府県・市町村にあるが、その活動はまだ十分には知られていない。5年前のNHKドラマ「サイレント・プア」で、「ごみ屋敷」や「引きこもり」などの課題に立ち向かう社協のコミュニティーソーシャルワーカー(CSW)を深田恭子さんが演じた、その奮闘ぶりに驚いた人もおられよう。

 行政区分ごとの組織で、トップは行政からの天下りが大半と、活動も沈滞しがちだったが、最近は各地で社協の“変身ぶり”が目につくようになった。

 高知市社会福祉協議会の生活支援相談センターはその典型。つらい立場の人たちと深く関わった今村さんの体験は、他の職員や福祉を担う人たちにとっても有益だろう。

 「サイレント・プア」のモデルとされる大阪・豊中市社協の勝部麗子さんは「ひとりぼっちがいない社会」を提唱する。県内でも同じ動きが広がっている。(石塚直人)

453899 1 人あり 2019/02/21 05:00:00 2019/02/21 05:00:00 若いスタッフと気さくに言葉を交わす今村さん(高知市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190220-OYTAI50002-T.jpg?type=thumbnail

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