読売新聞オンライン

メニュー

南国市 なん「こく」と読む?

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

違う読みで隣り合う「南国」(広辞苑第7版より)
違う読みで隣り合う「南国」(広辞苑第7版より)
「NANGOKU」と表記された南国サービスエリア(南国市で)
「NANGOKU」と表記された南国サービスエリア(南国市で)
「NANKOKU」の表記を掲げるナンコクスーパー(南国市で)
「NANKOKU」の表記を掲げるナンコクスーパー(南国市で)

誤読の「ごく」 俗称化

 熟語には2通りの読みを持つものがある。ただ国語辞典で隣り合うほど似ているケースは珍しい。その一つが「南国」だ。一般には「なんごく」だが、南国市は「なんこく」と読む。県外の人はまず読めないだろう。地元ではどうか。(福田友紀子)

 市役所近くで聞いてみた。市民歴50年の女性(77)は「『なんごく』と思っていた。他の人もそうでしょう」。別の男性(79)は「正しいのは『なんこく』なのかな。でもそう言ってる人、聞かんぜよ」。

 南国市は1959年、後免町、香長村、岡豊村など5町村の合併でできた。市史によると、温暖な気候に加え、おおらかで明るい住民の気性を受けて、名付けられたという。

 ではなぜこの読みになったのか。「南のくにの市なので国を濁音にしなかった」という説があるが、わかりにくい。それにペギー葉山さんのヒット曲「南国土佐を後にして」は「なんごく」と歌っている。「市町村名語源辞典改訂版」(東京堂出版)は「『ゴク』が獄に通じる」とし、「地獄」などを思わせるげんの悪さをにじませていた。

 すでに決まったものは仕方ない。さらにどれほど浸透しているか探ってみた。

 高知自動車道の南国サービスエリアに寄ると表記が「NANGOKU」だった。驚いてネクスコ西日本に聞くと「サービスエリア(SA)は名の通った方を選びます。『南国土佐』は知名度が高いですよね」。誤読ではなかった。その証拠に「インターチェンジ(IC)は市町村名に従う」との基準に沿い、南国ICは「なんこく」としている。

 平山耕三市長が社長を務める「道の駅南国」。さすがに道路案内標識に「Nankoku」とあった。ただホームページを見ると著作権表記が「Nangoku」に。やんわり担当者に問い合わせてみると「間違いでした。直します」と恐縮していた。もちろん悪気はないのだ。紛らわしい読みが恨めしい。

 企業もそれぞれ。四国銀行は南国支店を「なんごく」と読ませる。「後免支店」からの変更は市ができた翌年だが、広報担当者は「想像の域を出ないが、地元で『なんごく』が浸透していたからでは」と話す。

 心がもやもやする。ほっとしたのは地元「ナンコクスーパー」だ。全店舗で「NANKOKU」の看板を掲げ、正しい読みに一役買っている。鎌倉利夫専務は「業者に『ナンゴク』と呼ばれるたび『うちはナンコクや』と言っています」。

 市に近い人の感じ方はどうか。土居恒夫市議は2018年12月、市議会で「ややこしさを逆手にとってPRしよう」と提案していた。ちょうどこの頃、読み方の難しい大阪府枚方ひらかた市が全国的に調査。4割の人が正しく読めなかったが、「多くの人に市を知ってもらうきっかけになった」(枚方市)としている。

 土居市議は「人口では県第2の自治体。同様の調査や企画で全国の注目を浴びなければ」と力を込める。

 まだ市に動く気配はない。ただ名前の誤読は思った以上に人を傷つけるものだ。たとえ市民がおおらかでも周りはよくよく気をつけたい。

無断転載・複製を禁じます
1838747 0 近問(ちかもん) 身近な疑問 取材します 2021/02/13 05:00:00 2021/02/13 13:39:00 2021/02/13 13:39:00 キャプション別送り https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210212-OYTAI50018-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)