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追手門と天守のツーショット 高知城だけ?

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一枚の写真に納まった丸亀城天守と大手門(香川県丸亀市で)
一枚の写真に納まった丸亀城天守と大手門(香川県丸亀市で)
追手門と天守の構図が美しい高知城(高知城で)
追手門と天守の構図が美しい高知城(高知城で)
高知城をバックに米国車「T型フォード」が並んだ昭和初期の写真。当時から撮影スポットだった=野村茂久さん提供
高知城をバックに米国車「T型フォード」が並んだ昭和初期の写真。当時から撮影スポットだった=野村茂久さん提供

自慢の構図 丸亀城も

 一通の投書が届いた。「追手門と天守のツーショットがかなうのは高知城だけです」。城をPRするこのキャッチフレーズが事実ではないという。指摘の通りなら観光客の信用を損ないかねない。近頃、重視される「インスタ映え」の話題でもある。確認に走った。(浦一貴)

 確かに多くのネット情報に同じような記述があった。

 「追手門と天守のツーショット写真が撮影できるのはここだけ!」「高知城でしか追手門と天守を一枚の写真に収められません」

 「追手門」は城の玄関口のこと。県教委の担当者が実名で「追手門と現存天守を一枚の絵のように眺められるのは日本で高知城だけ」と語る記事も見つけた。専門家が断言しているのだから間違いはなさそうだ。

 ところが高知城に詳しい土佐史談会理事の島崎順也さん(76)に話すと、「何年か前に丸亀城(香川県丸亀市)の撮影に出かけ、『ありゃ、ここも写るな』と気付きましてね」と笑っていた。「ほんとですか?」。半信半疑で香川へ向かった。

 4月の晴れた日。丸亀城でカメラを構えると、天守と玄関口はすっぽり写真に納まった。地元のお年寄りに驚きを伝えると「当たり前ですやろ」。すげない反応が返ってきた。

 急いで戻り、高知城のボランティアガイドに写真を見せた。案内歴10年の女性は「先輩が丸亀の人に指摘されたそうで、私はその案内をしていません」。5年目の女性は「知らなかった。もう言いません」。ガイド間でも認識の違いがあった。

 詰め所のカウンターに有名な城のガイド本が置かれていた。開くと同様の記述がある。高齢の著者に確かめようと自宅にうかがうと入院中という。出版元に尋ねると「2015年に3版を出す際に著者にも確かめていただいたのですが……」と驚きを隠さなかった。担当者は「これまで問い合わせはなかった」といい、今後、著者と連絡を取り、正誤表などで対応する方針だ。

 先のネット記事に登場した「専門家」にも取材。県教委文化財課の樋口裕也課長補佐は「古くから言われているのと、前任の引き継ぎをうのみにしてしまった」と率直に間違いを認めていた。同様の指摘は過去にあり、その際は「自然に無理なく写るという意味」と説明したという。丸亀市観光協会によると、木が生い茂るなどして、天守が見えにくい状態は過去にもなかった。

 同じ玄関口でも丸亀城は「大手門」、高知城は「追手門」と表記は違う。「追手門と天守のツーショット写真はここだけ」は、あながち間違いとは言えなさそうだが、言い訳としては苦しいだろう。

 それにしても簡単に検証できる話がなぜ定着したのか。県立高知城歴史博物館の横山和弘副館長は「門から天守を仰ぐ構図は大正時代から絵はがきに使われている。よさこいなどで高知が全国区になるうちに広がったのでは」と推し量った。

 唯一でなくても、「インスタ映え」する美しい城であることに変わりはない。江戸期の天守や追手門が醸し出す歴史の重みが消えることもない。ただ二つの城を訪れた県外の人に「高知にだまされた」と言われたくはない。キャッチフレーズは欲張らなくていい。

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2044532 0 近問(ちかもん) 身近な疑問 取材します 2021/05/12 05:00:00 2021/05/12 05:00:00 2021/05/12 05:00:00 すんなり一枚の構図に収まった丸亀城天守と大手門(香川県丸亀市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210511-OYTAI50019-T.jpg?type=thumbnail

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