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人生変えた 仏菓子教室

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仕上げた洋菓子について受講生と語らう加藤さん(左、高知市で)
仕上げた洋菓子について受講生と語らう加藤さん(左、高知市で)

東京・加藤さん 高知で5年間指導

今月閉校 教え子次々独立

 高知市の山あいに1年のうち3か月だけ開くフランス菓子教室があった。東京在住のパティシエが、洋菓子の奥深さを伝えたい一心で、高知との間を5年間、往復していた。新型コロナウイルスに勝てず今月上旬、看板を下ろしたが、教えは薫陶を受けた受講生に確かに引き継がれた。(滝利明)

 教室は「エコール・クレーム・エ・メティエ(クリーム職人の学校)」。東京・新宿で洋菓子店を営んでいた加藤みどりさん(57)が主宰していた。加藤さんは2013年に大病を患い、店を休業。回復後、地域の活性化に取り組むNPO法人「土佐山アカデミー」を知り、16年、土佐山地区の倉庫跡で教室を始めた。

 菓子作りの原点は20歳代の体験にあった。3年間滞在したパリ。そこで食べたチョコとアプリコットのタルトの味に衝撃を受けた。

 「酸味や甘みが遠慮なく押し寄せてくる。全部が濃くて挑発的だった」

 さらに別の洋菓子を口にすると、ノスタルジーだったり、心地のよい悲しさだったり。菓子が人間の様々な感情をかき立てることを知った。帰国後、東京の有名店で修業を重ね、パリにも行き来し、店を持った。

 高知の教室では「人生を変える3か月」といううたい文句でインターネットで受講生を募った。1年で学ぶ内容を3か月に凝縮した内容はハードだったが、「洋菓子の奥深さに触れると、生き方やものの見方が変わることがある」。自らの経験を伝えたかった。

 授業料は60万円。最初の年は受講生はゼロだった。翌年は1人、次は2人。19年に3人となった。20~60歳代の女性ばかり。県外から通う受講生もいた。

 タルト、パイ、ババロア、ムース、シュー、ジェノワーズ……。60種類の作り方を手ほどきした。菓子をテスト販売すると、SNSで評判となり、市外からも買い求めに来る人がいた。

 今回、閉校を決めたのは、コロナで東京と高知の移動が難しくなったためだ。家族のことを思うとリスクが大きかった。ただ洋菓子への思いを受け継いだ教え子が、独立を果たしていく姿を見たこともあった。

 尾崎美穂さん(44)は今年5月、土佐町の自宅前に工房「ル・プチ・グーテ」を開設。SNSなどで注文を受けている。「教室では味のバランスが大切なことを教わった」と話す。

 小池有紀さん(42)は今年3月、工房兼店舗「ル・タン・ナチュレル」(愛媛県久万高原町中津)を開いた。「洋菓子づくりには、食材選びや温度管理など細かい技術が詰まっている。教わったことを大切にして作ったものには絶対の自信がある」と胸を張る。

 販売開始の道筋をつけた受講生は、ほかにも複数いる。加藤さんは「彼女らが作る洋菓子で、できるだけ多くの人が幸せになってほしい」と期待している。

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1724343 0 ニュース 2020/12/24 05:00:00 2020/12/24 05:00:00 2020/12/24 05:00:00 仕上げた洋菓子について受講生と語らう加藤さん(左)(高知市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201223-OYTNI50006-T.jpg?type=thumbnail

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