<合区の争点・1>「命の道」進まぬ整備

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海岸沿いを走り、津波で大部分が浸水する恐れのある国道55号(徳島県海陽町で)
海岸沿いを走り、津波で大部分が浸水する恐れのある国道55号(徳島県海陽町で)
高速道路の早期整備を求める長井さん(徳島県海陽町で)
高速道路の早期整備を求める長井さん(徳島県海陽町で)

南海トラフ地震

 徳島市から高知市までの海岸沿いを走る202キロの国道55号。徳島、高知両県の南部を結ぶ唯一の幹線道路だが、近い将来に起こるとされる南海トラフ巨大地震の発生時には津波で大部分が浸水し、陸路での救助活動に大きな支障が出る恐れがある。

合区解消 「具体策探す」

 「救助部隊や救援物資がすぐに届かないというのなら、代わりにどうするのか、きちんと対策を示してほしい」。徳島県海陽町の浜地区自主防災会会長の長井淳さん(50)は訴える。

 同町や高知県東洋町など沿岸自治体は2015年の国の想定で、巨大地震が発生した際、津波で道路が寸断され、救助部隊が陸路でたどり着くのが難しいと指摘された。

 津波警報発令の間は船による救助は困難。悪天候だった場合にはヘリを用いる空路での救援も難しくなる。

 11年3月に起きた東日本大震災では、津波により東北地方の沿岸部の多くで一般道が通行不能になった。しかし、内陸を縦断していた高速道路は大きな損傷を受けず、救援物資の輸送に使われたり、避難場所になったりして「命の道」と呼ばれた。

 徳島、高知両県は長年、国道の代替道として高速道路の早期整備を求めているが、大きな進展が見られないのが現状だ。

 四国4県を高速道路で結ぶ全長809キロの「四国8の字ネットワーク」の整備率(今年4月時点)は香川100%(104キロ)、愛媛84%(210キロ)に対し、徳島は68%(132キロ)、高知は61%(158キロ)にとどまる。

 徳島、高知は山間部が多く、トンネルや架橋工事に多額の事業費がかかることが要因とされるが、いち早く津波が到達する両県の沿岸部を中心に未整備区間が多い。

 事業化され、用地取得に入っている区間もあるものの、徳島県南部で唯一、開通した日和佐道路(阿南市―美波町、9・3キロ)は、事業化から11年7月の全面開通までに16年を要しており、高速道路網全体の完成を見通すことは難しい。

 昨年4月、徳島、高知両県と津波で孤立する恐れがある徳島の海陽、牟岐、美波、高知の東洋各町が、災害対応で相互協力する「南海トラフ巨大地震対策連携協議会」を設立した。

 ヘリポートや港など、それぞれの町にある防災拠点を活用し、空路や海路による救援をスムーズに受けられるようにすることを目指す。

 これまで町の担当者らがそれぞれの防災関連施設を視察しており、共同での防災訓練の実施も検討しているが、取り組みは緒に就いたばかりだ。

 海陽町の浜地区では昨年11月、住民約50人が参加して、津波避難タワーへの避難訓練を行った。長井さんは、高齢者らに「一人一人を家まで助けに行くのは難しいが、自分で避難しようとしてくれれば手助けはできる」と呼びかけた。

 いつ起こるともわからない巨大災害。長井さんは「子どもたちが将来も安心して暮らせるよう、『命の道』である高速道路を早く完成させてほしい」と訴えている。(平井宏一郎)

 候補者6人が舌戦を繰り広げている参院選徳島・高知選挙区(改選定数1)。7月10日の投開票に向け、選挙の争点を探った。

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3115493 0 ニュース 2022/06/26 05:00:00 2022/06/26 05:00:00 2022/06/26 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220626-OYTNI50014-T.jpg?type=thumbnail

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