「タクシー飲食宅配」に補助 県、月内にも事業開始
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「キャッシュレスのデリバリーで『新しい生活様式』を提案」――。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で苦境に立つ飲食・タクシー業界を支援しようと、県がタクシーを活用して飲食店の宅配サービスを促進する事業に乗り出す。注文から配達手配までアプリで完結するようにし、県が配達料の一部を補助して、店側の配達コストを無料とする。事業費は3000万円で、月内にも事業をスタートさせる。
県内でも宅配のニーズが高まっている一方、配達手段がない飲食店も多い。そこで、県は利用客が減っているタクシーを活用。飲食店とタクシーの双方を支援できる仕組みを構築することとした。
首都圏でデリバリーサービスを展開するアプリ「
タクシー側が受け取る配達料は1回500円を見込む。うち300円を県が補助し、残る200円を注文者に負担してもらう。県は今後、飲食店にアプリへの登録を呼びかける。
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タクシーは乗客以外の荷物を運ぶ場合、「一般貨物自動車運送事業」の許可が必要だが、国土交通省は出前などができるよう、9月までの期限付きで特例措置をとっている。これを受け、タクシーでの配達事業は全国に広がっているが、飲食店の業務負担が増したり、配達コストが利益を圧迫したりするなど、課題も少なくない。
そのため、県は「利用者」「飲食店」「タクシー会社」が「三方よし」の支援策となることを重視した。ノウハウを持つアプリと手を組むことで、店側の業務負担を抑えながら販路を拡大。タクシー側も煩雑なやりとりを強いられず、利用者はキャッシュレスで現金のやりとりをなくして感染のリスクを低減できるという。
県は「利用するすべての人にメリットがある。成功すれば、全国的なモデルにもなりうる」と意気込んでいる。