母校の偉業 創作に熱

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壬生狂言など京都の伝統文化をはり絵で表現する湯浅さん(上京区で)
壬生狂言など京都の伝統文化をはり絵で表現する湯浅さん(上京区で)
龍谷大平安の甲子園通算100勝を記念して湯浅さんが寄贈したグラブの絵(上京区で)
龍谷大平安の甲子園通算100勝を記念して湯浅さんが寄贈したグラブの絵(上京区で)

 ◇和紙はり絵・コラージュ作家 湯浅三郎さん 77

 和紙のはり絵(コラージュ)で京の伝統文化を表現し続ける作家には、意外な一面がある。今夏、甲子園通算100勝を達成した龍谷大平安野球部のOB。60年前、高3の夏に内野手として甲子園の土を踏み、8強入りを果たした。今、母校の偉業達成に喜びをかみしめ、新たな創作に意欲を見せる。

 作品は、色とりどりの紙を手でちぎり、のりで貼り合わせて造形する。主な素材は顔料で彩色した和紙。くしゃくしゃと丸めて広げると、独特の柔らかいシワが陰影を生み、平面の絵に立体感が現れる。普通のはり絵とは異なり、下絵は描かない。直感と集中力を研ぎ澄まし、手を進める。

 「輪郭をなぞるように貼ったり、うまく描こうと何度も貼り直したりすると、表現に動きがなくなる」。全体を見極める慎重さに加え、時に思い切りのいい大胆さが肝心だ。意外な形にちぎれた紙が、人の腕に見えることもあれば、服の模様に化けることもあるからおもしろい。

 創作の原点は、幼い頃から記憶に刻まれてきた京の祭りや芸能だ。5月には生家に近い壬生寺(中京区)で上演される壬生狂言の連作計30点を集め、個展を開いた。5年ほど前から描き続けた作品群は、和紙だけでなく、コンテやアクリル絵の具も織り交ぜる独特の手法を駆使。セリフのない無言劇の仰々しい身ぶり手ぶりが、鮮やかに浮かぶ。

 「子どもの頃から目にしたものが、歳月を重ねると身に染みてくる。そうすると、絵の題材としてますますおもしろく思えてくる」。綿々と続く葵祭や祇園祭、五山の送り火に南座の顔見世興行――。古都の四季は題材に尽きない。

 創作をかき立てるもう一つの原動力。それが野球にある。王貞治さん、板東英二さんら往年の名選手と同世代。少年時代、仲間はこぞって白球を追いかけた。自身も中学、高校と平安野球部に青春をささげた。卒業後、フリーのグラフィックデザイナーを経て作家としての道へ。その中でも野球や母校への愛は冷めず、今も創作のテーマであり続ける。

 30年前に制作した「私の思い出・甲子園」は、自身も出場した夏の40回大会の球場に立つ平安ナインを描いた。2008年に発行された「平安野球部100年史」の見返し部分のデザインにも使われ、伝統校の歴史を伝える。

 自身の出場からちょうど60年たった今夏、100回大会での通算100勝を達成した後輩たちを祝福し、記念の絵を仕上げた。「祝100勝」と書かれたボールが、グラブに収まっているシンプルなスケッチ。しかし、裏面には「万々歳」とあふれる思いをしたためた。

 「自分自身、つらく、苦しい練習で楽しいことばかりではなかった。でも、平安での野球生活は誇り」。作品は先月に母校へ寄贈され、新たな伝統を築くナインを見守る。そして自身は今年、作家として活動を始めて40年。後輩たちの偉業でさらに熱くした胸で、次の作品に向かう。(秋山原)

 

 ◆ゆあさ・さぶろう 1940年、中京区生まれ。78年から作家として活動し、国内外で個展を開催。88年には作品集「KYOの歳時記」(京都書院)を出版した。自宅(上京区)に併設する画廊では月替わりで作品を展示している。問い合わせは同画廊(075・231・4620)。

43679 0 きょう・人・十色 2018/10/08 05:00:00 2018/10/08 05:00:00 壬生狂言など京都の伝統文化をはり絵で表現する湯浅さん(3日午後0時46分、上京区で)=秋山原撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181007-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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