離れていても心寄せ

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 京都市内で行われた小学校の卒業式。川崎好一さん(50)は、長女(12)の姿をビデオに収めていた。

 茨城県北茨城市で東日本大震災に遭った。東京電力福島第一原発から80キロ圏にあり、妻の安弥子さん(51)は6年前、幼かった次男と長女を連れて伏見区へ自主避難した。長男らと故郷に残った川崎さんは数か月に1度、夜行バスに約9時間揺られて京都を訪ねる。

 長女と卒業祝いの靴を買いに行くと、大人サイズの24センチになっていて驚いた。今月から府内の高校に進む次男(15)は、買ったばかりのスマートフォンで友達とのやりとりに夢中だ。草青む春、刹那にも思える年月をかみしめる。

 原発事故の自主避難者を巡り、3月の地裁判決は国と東電に賠償を命じた。茨城県からの避難者にも救済範囲を広げ、原告の安弥子さんも賠償が認められた。夫婦はしかし、顔を合わせても判決の話はしないようにしている。いつまで離れて暮らすのか。平行線をたどる話し合いを避け、ともに過ごすわずかな時間を大切にするために。

 間もなく次男と長女の入学式。父はまた夜行バスに揺られる。区切りなどない日常に、これからも心を寄せていたい。

(山本美菜子)

無断転載禁止
15617 0 @kyoto 2018/04/06 05:00:00 2018/04/06 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ