「のたり」よく似合う

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 広い丹後半島を日々、東奔西走している。3月下旬、宮津市の天橋立を取材で歩いていると、短歌と俳句の応募箱を見つけた。

 天橋立観光協会に事務局がある「天橋立を守る会」が置いたポストで、旅空に浮かんだ一首、一句を投函とうかんしてもらい、良作を表彰する。与謝蕪村は風光る季節にこのあたりの景色を思い、「春の海ひねもすのたりのたりかな」の名句を詠んだという。文人墨客が好んだ景勝地らしい企画だ。

 その数日後、市内の集会施設「みやづ歴史の館」で同じ箱を見つけた。横に置いてあった応募用紙を読むと、企画の後援団体に……岩滝町、野田川町、加悦町とある。2006年の合併で与謝野町となり、どれも今はない。

 観光協会の住所と電話番号も移転前のまま。箱の中身は回収されていたが、存在しない宛先に送られて消えた傑作があったかも知れない。箱と応募用紙は市内数十か所にあり、ここだけ12年以上前から時が止まっていた。

 浦島太郎伝説の舞台とされる丹後半島には、こんな話がよく似合う。のんびりした波を見つめていたら、蕪村ならぬ身でも句心が湧いてきた。

(布江田嘉一)

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17081 0 @kyoto 2018/04/18 05:00:00 2018/04/18 05:00:00

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