<1>縁 一生の宝物

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これからについて語る綿矢さん(12月4日、東京都千代田区の神保町ブックセンターで)=宮崎真撮影
これからについて語る綿矢さん(12月4日、東京都千代田区の神保町ブックセンターで)=宮崎真撮影

 ◇芥川賞作家 綿矢りささん34

 ◇物質的に恵まれた時代

 平成って、物質的に恵まれた時代だったなと思います。電子機器がどんどん新しいものに変わり、進化し、自分も追いついていった。スマートフォンやパソコンに向かう時間が多くて、モノに依存した時代を送ったと思えるぐらい。

 インスタグラムやツイッターは、見るだけ、読むだけなんですけど、小説などに出てくると「わかる、わかる」って共感することも多い。こうしたSNSを取り上げた作品や、インターネットやSNS発の作品が出続けているのが面白いし、私も好きなので読んでます。

 〈コミュニケーションの形が急速に変わった時代。平成13年(2001年)のデビュー作「インストール」も、インターネットのチャットで女子高生が奇妙なアルバイトをする物語だった〉

 ただ、私もSNSをテーマにしたいと思いながら、まだできていません。執筆から出版まで半年かかる。その間に、次々と違うものが流行するので、何かを取り上げたとしても出版される頃には滅んでいるのではと思ってしまいます。

 〈これまでに13冊を発表。32歳で書き上げた綿矢版「細雪」といえる「手のひらのみやこ」で初めて地元を舞台にした〉

 自分が標準語でしゃべったり、標準語で話す人物や地の文章を書いていたりする時でも、京都で使ってきた言葉のリズム、関西弁ならではの勢い、それと、直球ではなく、少しひねくれた笑いの感覚など京都人特有の考え方が出ます。ぬぐい去れない影響を感じますね。

 〈大学は、東京・早稲田大を選んだ。外から京都を眺めた〉

 自転車で通える範囲に三つほど大学があったんですが、それまでは学校と家の行き来がほとんどで世界が狭すぎる。家族には反対されたけど、「荒療治」をしてみようと。

 京都って、寺社や自然、青空、川、生活の中を含めて、目に入る全てが景色として完成されていて贅沢ぜいたくだったと、離れて初めて気付きました。

 高い建物が少なく、町家をはじめ、多くの建物が残っている。故郷ということもあるんでしょうが、サイズがぴったり合うようで落ち着くんです。他人でもあうんの呼吸のようなものがあって、町全体がちょっとした家の中のような感覚がある。離れると恋しくなるんですよね。

 〈平成26年(14年)に結婚、翌年男児を出産した。子育てに向き合いながら、新しい世界を描き続ける〉

 30歳を過ぎ、書きたいのは、内にこもって考える人から他人とのふれあいや衝突の中で気付いていく人に変わったし、一人の主人公ではなく、複数の人物を書くことも楽しいと思えるようになってきました。

 太宰治の「斜陽」で描かれたスプーンのように、一つひとつのモノが宝物、キーワードになるような作品を書いてみたいですね。

 ◇「試して捨てて」それって豊か?

 今は情報がありすぎて、つい移り気になってしまう。試して捨てて、みたいなのが続くと、それって豊かなのかなって。本当に自分と関わりのあるモノや人とのつながりを一生大事にしていくという時代になればと思います。(聞き手・今岡竜弥)

 ◆わたや・りさ

 作家。1984年、京都市生まれ。市立紫野高校在学中の2001年、「インストール」でデビュー。04年に芥川賞を最年少受賞した「蹴りたい背中」は、単行本・文庫本計148万部のベストセラーとなった。12年「かわいそうだね?」で、大江健三郎賞受賞。16年には京都で暮らす3人姉妹の姿を描いた「手のひらのみやこ」を刊行。17年は、初の新聞連載を単行本化した「私をくいとめて」の出版、「勝手にふるえてろ」(10年刊行)の映画化が話題となった。

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60893 0 平成@Kyoto 2019/01/01 05:00:00 2019/01/01 05:00:00 京都版新年連載用、京都出身の作家・綿矢りささん(12月4日、東京都千代田区で)=宮崎真撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190102-OYTAI50053-T.jpg?type=thumbnail

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