<5>訪日客呼ぶ 魅力作り

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二条城の唐門前に立つアトキンソンさん。観光客の受け入れ環境の整備に取り組んできた(中京区で)
二条城の唐門前に立つアトキンソンさん。観光客の受け入れ環境の整備に取り組んできた(中京区で)

 ◇二条城特別顧問 デービッド・アトキンソンさん53

 ◇「らしさ」残し環境整備

 

 外国人観光客の急増で、京都の街の光景は様変わりした。文化財修復会社社長のデービッド・アトキンソンさん(53)は世界遺産・二条城(中京区)の特別顧問として、外国人観光客をどう迎え入れるかを京都市にアドバイスしてきた。観光地としてのあるべき姿について聞いた。

 〈外国人観光客に人気の観光スポットの一つ、二条城は、2017年度の入場者数が過去最多の約244万人を達成した〉

 以前は、展示物の解説案内板が十分に設置されていませんでした。外国人は「将軍」や「大政奉還」と言われてもわからない。門川大作市長に「このままでは二条城の良さが理解されませんよ」と指摘したところ、市長から「あなたが変えてほしい」と言われ、16年に特別顧問に就任しました。会議を作り、何をどう変えるかを議論しました。

 同年10月からの半年間で、重要な建築物や庭園約80か所に日本語と英語の解説板を設置しました。例えば、重要文化財の唐門については、鶴や亀、松竹梅の彫刻に込められた意味も説明しました。手前みそですが、大手旅行サイト「トリップアドバイザー」では、「日本の歴史の流れが理解できた」「勉強になった」などと評価されています。

 ほかにも、正面入り口の「東大手門」の前にあった駐車場は北側に移設しました。以前は観光バスが大量に止まっていて「インスタ映え」しませんでしたが、今は素晴らしい見栄えになりました。ハイヒールの女性が歩きにくい砂利道は、別に道を作って歩きやすくしました。

 〈府内では、京都市に観光客が集中することが課題になっている〉

 魅力というものは作るものです。きちんと設備投資しなければ、観光客を呼び込むことはできません。外国人に大人気の伏見稲荷大社(伏見区)は、参道のコンクリートを石畳にしたり、トイレを洋式化したりしました。伏見稲荷大社も二条城も受け入れ態勢を整備したからこそ、大勢の人が来るのです。北部や南部に観光客を集めたいなら、設備投資をしなければなりません。

 〈京都市は07年、市内全域で屋上看板と点滅式照明を禁止し、建物の高さを地域ごとに制限する「新景観政策」を導入。17年には、京町家の保存に向け、建物解体に事前の届け出を求める条例を制定した〉

 景観に対する取り組みは、不十分と言わざるを得ません。京町家は毎日のように破壊され、マンションや駐車場に姿を変えています。市の中心部にホテルばかり作るのも賛成できません。

 30年以上前に初めて京都を訪れた際、京町家の街並みの素晴らしさに感動しました。当時は、イタリアのベネチアやフィレンツェに匹敵する町並みが京都にはあったかもしれませんが、今はもう比べものになりません。

 生活に不便だからベネチアの運河を埋めると言ったら、日本の皆さんも反対するでしょう。暮らしにくいからといって京町家を解体し、京都の町並みをなくすのは歴史的な「罪」だと私は思います。景観の受益者である市民にも、守ろうという意識が欠けているのではないでしょうか。

 「京都らしさ」が失われれば、観光客は離れていきます。経済が衰退し、困るのは市民です。この街並みをどのように未来に残していくのか。もっと議論し、考えていく必要があります。(聞き手・上杉洋司)

 ◇京都市外国人宿泊客11倍に

 京都市の外国人宿泊客数は1989年(平成元年)の32万人から2017年には353万人に増えており、平成時代に11倍に増加した。

 日本人も含めた市の観光客数は89年以降、毎年4000万人前後だったが、市が2001年に「5000万人」の目標を掲げ、観光イベントの新設や市バスの増便などに取り組んだ結果、08年に初めて5000万人を突破。15年には過去最多の5680万人に達し、16、17年も5300万人台を維持している。

 一方、京都市を除く府内25市町村の観光客数も増えており、17年は過去最多の3325万人に上った。ただ、外国人宿泊者数は約8万人で京都市の2%にとどまる。

 ◆デービッド・アトキンソン 1965年、英国生まれ。英オックスフォード大学で「日本学」を専攻。米金融大手ゴールドマン・サックスのアナリストなどを経て、2009年、文化財の補修を手がける小西美術工芸社(東京)に入社し、11年から社長。政府の「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」メンバー。著書に「新・観光立国論」など。

無断転載禁止
61144 0 平成@Kyoto 2019/01/06 05:00:00 2019/01/06 05:00:00 「京都の町並みをどう未来に残すか、議論が必要だ」と話すアトキンソンさん(中京区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190105-OYTAI50027-T.jpg?type=thumbnail

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