<6>空想の世界 リアルに

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任天堂時代にファミコンやスーパーファミコンを開発した上村さん(中京区で)
任天堂時代にファミコンやスーパーファミコンを開発した上村さん(中京区で)

◇任天堂でファミコンとスーパーファミコン開発 上村雅之さん75

◇メンコ超えるゲーム実現へ

 平成の30年間は、ビデオゲームが爆発的に普及し、遊びが大きく変化した時代だった。先導役となったのが、任天堂(南区)の「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」と、その後継機「スーパーファミコン」だ。任天堂で両機種の開発を指揮した上村雅之・立命館大学客員教授(75)は、新しい技術を取り込みながら進化していくゲームの世界をどうみるのか。

 僕を含めファミコンの開発者の子供時代にはビデオゲームはなく、メンコなんかで遊んでいました。相撲の力士などが印刷されていて、メンコという物体だけど、力士が投げ飛ばしたというふうに空想で補って楽しんでいたんです。

 ファミコンでは、自分の空想してきた世界がテレビ画面に出てくる。物理的な制約ゼロの、何でもありの世界が。人気を博した最大の理由はそこだと思います。

 〈上村さんは現在、ゲームを学術的に研究する立命館大学ゲーム研究センターのトップを務める〉

 欧米でファミコンが発売された時、「ここまでできる日本人とは何者なのか」という驚きがあったと聞きます。

 日本人独自のものとして挙げるとすれば、(自然のあらゆる事物に霊魂が宿るという)アニミズムでしょう。自然の隅々にいる八百万やおよろずの神と戯れるという世界観があります。

 鳥獣戯画は獣たちが遊び回る世界を想像し、可視化したものです。メンコに限らず昆虫や石ころでもキャラクターになる。ポケモンの原点は虫捕り遊びです。日本人が持つ、長いアニミズム的遊びの歴史がファミコンに結実したのだと思います。

 〈平成の子供たちは「ゲーム世代」とも呼ばれる〉

 子供たちはビデオゲームをせざるを得ない環境にいます。自分がしなくても周りがしていて、「やりたくない」とは言いづらい。そもそもリアル(現実)の世界で遊ぶのは、友達を集める必要があって邪魔くさい。

 現実はゲームの世界より深くて広いのだけど、それを体験する機会が少なくなっているのではないか、ゲームしか知らないのではないか。「ゲームの世界にとらわれてしまって、面白いものができない」と悩む若い開発者もいます。

 〈VR(仮想現実)、AR(拡張現実)など次々と登場する新技術。新しい時代には、ゲームの姿はどうなるのか〉

 ゲームがいくら自由だとはいえ、あくまで画面の中に閉じこめられています。逆にメンコのようなおもちゃは、手にとって投げるといったリアルな楽しさがある。また、大量生産の電子機器は均質で「自分のおもちゃ」という感覚はない。そういう意味で、ゲームはいまだにメンコを超えられていません。

 ゲームと現実をどうつなぎ合わせるのか。野菜の出来次第で毎年味が変わる漬物みたいな、京都らしい手作りの味をゲームでどう表現するのか。任天堂は、「ニンテンドー スイッチ」(2017年発売)の「ニンテンドーラボ」(ペーパークラフトとゲーム機を組み合わせて遊べる)で実現しつつあります。立命館の学生でも、陶器の皿に描かれたキャラクターがARで動き出す、発光性の繊維で織物を作ってディスプレーにするといったアイデアで製作を進めている人がいます。

 京都は東京のようにモノや情報があふれておらず、いい意味で周りの影響を受けにくい場所だから、独創的な新しいゲームを生み出していけるのではないでしょうか。(聞き手・秋山原)

 

◇スマホ向け市場拡大

 日本生産性本部のレジャー白書によると、国内ビデオゲーム市場は1997年(平成9年)、年間売上高7580億円を記録し、ピークを迎えた。94年発売の「プレイステーション」(ソニー)など、任天堂以外のメーカーも高性能ゲーム機を投入したことで、市場が拡大した。

 だが、2010年代になると、スマートフォンが急速に普及し、市場環境は激変した。12年にはスマホ向けを中心としたオンラインゲームの市場規模が7060億円と、ビデオゲーム市場(4870億円)を上回り、16年に配信が始まったスマホ向けアプリ「ポケモンGO」(米ナイアンティック)はダウンロード数が8億回を超えた。

 こうした市場状況の変化に対応するため、任天堂はスマホ向けゲーム事業を強化する方針だ。

 

 ◆うえむら・まさゆき 1943年、東京都杉並区生まれ。生後すぐに左京区へ疎開し、高校まで京都で過ごす。千葉工業大卒業後、早川電機工業(現・シャープ)入社。71年、取引先だった任天堂へ移籍し、商品の電子化を進めた。79年に開発第二部長就任。2004年からは立命館大で教べんを執る。

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61395 0 平成@Kyoto 2019/01/08 05:00:00 2019/01/08 05:00:00 任天堂時代にファミコンやスーパーファミコンを開発した上村雅之さん。平成のゲーム史に絶大な影響を与えた(29日午後5時、中京区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190107-OYTAI50050-T.jpg?type=thumbnail

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