<7>嗜好特化 業界に風穴

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

「新しい価値を生み出していきたい」と話すGLMの田中COO(伏見区で)
「新しい価値を生み出していきたい」と話すGLMの田中COO(伏見区で)

◇電気自動車メーカーGLM最高執行責任者 田中智久さん32

◇京から新しいモノを

 戦後急速に発展し、世界市場でも大きなシェア(占有率)を誇る日本の自動車メーカー。その顔ぶれは長く変わらなかったが、平成後半になって登場した京都大学発の電気自動車(EV)専業GLM(伏見区)は、高級スポーツ車に特化する戦略で存在感を高めつつある。創業メンバーでもある田中智久・最高執行責任者(COO)(32)が描く新時代のビジネスは。

 創業は2010年4月、吉田キャンパスに事務所を設けました。これからはEVの時代だと始めましたが、ヒト、モノ、カネの全てが足りない状況で、雲をつかむようでした。周りは皆、「無理、無謀、何考えてんねん」って。

 私たちはEVベンチャーとしては後発です。EVの会社が続々と将来何万台作ると発表したが、残っている企業は少ない。現実的に少量・嗜好しこう性を目指したのが結果的に良かったんだと思います。

 13年4月、青蓮院門跡(東山区)で、市販モデル第1弾となるEVスポーツカー「トミーカイラZZ」を発表しました。

 多くの人に高い評価をいただいた。車には大きなパワーがあると感じられた発表会でした。

 〈EVへの流れが加速する中、新しいビジネスチャンスも出てきた〉

 部品や素材メーカーもEVに力を入れていて、自前の試作車で自分たちの製品を試したいという思いは強い。そこで私たちは車の土台となる「プラットフォーム」を提供するビジネスを始めました。一緒に試作車を作ることもします。

 最近では、すぐ近くの京セラと一緒に試作車を作りました。完全な共同開発で、発表も一緒にしました。

 〈現在のラインアップはトミーカイラZZのみ。17年4月に想定価格4000万円の「G4」を19年に発売すると発表したが、開発を中止した〉

 G4の評判は良かったのですが、外部環境が大きく変わった。欧州でディーゼル車を巡る不正が発覚し、大手各社がEVに急速にかじを切り、競争が過熱した。何百億円と投入して戦っていくのは難しいと判断しました。ただ、完成車の開発をやめたわけではない。遠くない時期に発表したい。

 〈社員は27人(18年3月時点)に増え、18年11月、本社も兼ねる研究開発センターを新設した〉

 京都企業はどこも品質に厳しい。その下請け企業もレベルが高い。京都以外の選択肢はありませんでした。

 文化的な部分も大きい。京都は意外と保守的ではなく、新しいものを受け入れている。祇園祭のほこにも、ペルシャ絨毯じゅうたんなど異国のものが使われている。新しいものを取り込むことが得意な土地柄だと思います。

 〈平成の間、京都からは目立つベンチャーはあまり生まれなかった〉

 先輩企業が立派すぎたこともあるかもしれませんね。日本を支える企業がいくつもある。経営者としても、会社としてもカリスマばかり。スーパースターがいると周りが目立たなくなる。黄金期の巨人打線はすぐに思い出せても、その2~3年後は分からないのと同じじゃないでしょうか。

 京都のベンチャーでもっと盛り上げていかないといけないですね。新しいモノで世の中を動かさないと、会社としての存在意義がありません。たくさん新しいモノ、新しい価値を生み出せる会社になりたいですね。(聞き手・田畑清二)

 

◇産学官 新興企業後押し

 新興企業を後押しする産学官の取り組みが、京都でも活発化している。

 その核として期待されているのが、京都商工会議所などが移転して3月に開業する「京都経済センター」(下京区)だ。起業家や学生、大企業の経営者らが交流する「オープンイノベーションカフェ」が設けられる。京都銀行は、センター内に設ける新拠点で、新興企業を対象に資金調達や販路開拓、技術開発などを手助けする。

 京都市と京都高度技術研究所は2017年度、医療や健康分野での起業家育成プログラムを始め、これまでに3社が創業した。京都大学は16年、三井住友銀行と総額160億円の基金を設立した。

 新興企業を中心に400社超が入居する起業支援施設「京都リサーチパーク」(下京区)は、11年ぶりにオフィス棟を新設する。ホテルの建設ラッシュでオフィスが不足し、「起業したくても場所がない」(新興企業関係者)という声に対応するもので、今春に着工、21年春に完成する予定だ。

 

 ◆たなか・ともひさ 1986年、京都市生まれ。京都大学工学部を卒業、京都大経営管理大学院の在学中、同級生だった小間裕康社長とGLMを創業した。大学院修了後はネスレ日本(神戸市)に入社したが、2年後の13年にGLMに復帰。現在はCOOとして、国内事業全般を統括する。

無断転載禁止
61430 0 平成@Kyoto 2019/01/09 05:00:00 2019/01/09 05:00:00 「新しい価値を生み出してきたい」と話すGLMの田中智久・最高執行責任者(26日午後3時37分、伏見区のGLM本社で)=田畑清二撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190108-OYTAI50008-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

 


東京オリンピックパラリンピックオフィシャル新聞パートナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ