<4>「家族」になれた喜び

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

パートナーシップ制度 広がる

 LGBT(性的マイノリティー)への支援策として、同性カップルを公認して行政サービスを提供する「パートナーシップ宣誓制度」が府内でも広がりを見せている。9月に始まった京都市のパートナー制度の登録者は11月19日現在で42組。亀岡市は今年度中の開始を目指し、長岡京市でも検討が進むが、男女間の結婚と同じ権利はなく課題もある。

 「新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、家族以外は面会できません」

 レズビアンの女性(38)(下京区)は7月、パートナー(37)の入院手続きに付き添った際、医師からそう告げられた。

 パートナーは、男女の区別に当てはまらない「Xジェンダー」。長年同居してきたが、病院では家族とは認められなかった。

 3週間の入院中、着替えや差し入れは病棟前で看護師に渡すことになり、寄り添うことはかなわなかった。パートナーは「一緒に過ごしてきた人と会えないつらさは大きかった」と話す。

 2人は付き合って10年の10月9日、京都市にパートナー制度を申請した。制度の受領証を市立病院で提示すれば、「家族」として病状説明を受けられ、手術同意書にもサインできる。民間では、病院側に判断が委ねられている。

 市営住宅の入居要件にある「家族」にも、パートナーシップの登録カップルが加わった。女性は「事故に遭っても死に目にあえないと思っていた。家族になれたようでうれしい」。

 一方、パートナー制度では不十分との指摘もある。法律で定められた婚姻関係とは違い、市の内部規定にすぎないからだ。法定相続や社会保障、税制の優遇など、法律に基づく権利は主張できず、市外に転居すれば効力を失う。

 それでも、当事者の多くは肯定的に捉える。京都市のパートナー制度に登録したトランスジェンダーの心韻ろいさん(40)は「当事者の心に寄り添った証し」と評価する。「互いをいとしく思う気持ちは男女間と何ら変わらない。真の共生社会へのきっかけにしてほしい」と願う。(おわり)

 共生社会実現への一歩――取材後記

 「LGBTQQIAAP」

 何かの暗号やおまじないのように思える英語だが、LGBT以外の性的指向を加えた性的マイノリティーの総称の一つだ。

 取材した当事者の1人は、女として生まれた自分に疑問を持ち、男として生きてみたがそれもしっくりとこず、「男でも女でもない自分は何者なのか」と悩んだ。男女に固定されない「Xジェンダー」という性自認を知り、「自分一人じゃない」と気が楽になったという。

 「クエスチョニング(Q)」「アセクシュアル(A)」「パンセクシュアル(P)」――。冒頭のアルファベットの一つ一つが、性に悩む当事者の心のよりどころになっていると知った。

 共生社会の実現には一人一人の「当たり前」を取り除く必要がある。岩本弥生さんへの取材でも、自分の性的指向を物差しに質問していることが多々あった。

 「当事者は、あなたと同じ社会で暮らしている」。岩本さんの言葉を心に留めることを、自分の一歩目にしたい。(松田智之)

無断転載・複製を禁じます
1639869 0 七色をさがして 2020/11/20 05:00:00 2020/11/20 05:00:00 2020/11/20 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201119-OYTAI50028-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ