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<特別編~SideA~>湧いてくる思い 歌に

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「良い子は絶対、俺の生き方をまねしたら駄目です」(2020年11月、亀岡市の畑で)=本人提供
「良い子は絶対、俺の生き方をまねしたら駄目です」(2020年11月、亀岡市の畑で)=本人提供

フォーク歌手 岡林信康さん

 半世紀前「フォークの神様」と呼ばれた男が、23年ぶりになる全曲書き下ろしのアルバム作りに挑んでいる。コロナ禍の夏から冬にかけての半年、74歳になった岡林信康は農業を営む亀岡市にある自宅の部屋で歌い、ギターを鳴らした。

 ――牧師の家に生まれ、同志社大神学部に在学中、「何もかもがガラガラと崩れて」東京・山谷で日雇い労働者になった。たまたま見たフォークコンサートに刺激され、独学で音楽制作を始めた。

 自分の思いを歌にしてぶちまけるのがおもしろいなぁと思って、ギターもろくにいじったこともないのに歌を作ろうと。本気で思うところが、すごいやろ。挫折して日雇い労働者やって、歌おうなんて。

 ――反戦や差別、学生運動。当時の社会情勢を受け、後に「放送禁止歌」と呼ばれる作品を次々に発表した。

 何かを突き詰める力はあると思うねんけど、ただね、日常生活で物事にこだわって神経質なところは、ある種、心の病にも通じるから生きづらいことではあるねん。ただ、歌を書くということでは、それは非常に有効に作用したんやね。

 ――デビューアルバムを発表した1969年、秋から冬の3か月、フォークの神様とあがめられた岡林は、「蒸発事件」を起こした。

 俺を崇拝する高校生がいたり、「岡林さんも大学中退したから僕もやめますわー」って言われたり。「あんたの人生の責任、俺取れないよ」って、恐ろしくなってきてね。人前に立って歌うのが怖くなってきて、ちょっと逃げたんです。

 ――71年から岐阜の山村で暮らし、73年に綾部で農業を始めた。そこで始まったのが、演歌の制作だった。

 村の人、誰も俺のこと知らんから、楽になったね。近所のおっさんと酒飲んでばか話して、俺が自然農法について話したら「おまえ、理屈はええけど、おまえの田んぼ草だらけやないか」と。そういうことが、すごくうれしくてね。田植え、稲刈りするうちに、ぼこっと重しが取れたんかなぁ。

 たぶん、人間って1色じゃないと思うのね。「私はこういう人間や」ってみんなよく言いますけど、24色入りの絵の具の箱みたいなもんで、それぐらいあると思うの、色が。生活の中で1色か2色しか必要ないから、自分は黄色やとか緑やとか決めてしまう。でも本当は24色あるはず。俺の場合は、それを1色ずつ出せたんやね。

 なんか気になったり、居心地が悪いと、普通は妥協してしまうけど、それができない。うん、でもとめられないから、しょうがない。それは、もう俺のせいじゃないっていうか。俺の中から出てくるねん。いい歌詞ができた。「降りてきた」ではなくて「湧いてきた」。

 「次はこれ行くぞ!」という思いが湧いてきて、体を支配してとまらなかった。

 俺は音楽スタイルを変えるたびに友達を失い、そして誰もいなくなった。(演歌をやる前には)ロックをやろうと東京に出て。まあ、弾き語りのイメージが強すぎて、コンサートもシラーッとして。「もうやめた!」って、押し込めてきた演歌を始めたけど、なんか違うやろと思っちゃうともうできない。新宿のカラオケバーのおっさんなんか冷たくなったし、ロックの友達は演歌で失ったし。(民謡や盆踊りをベースにした)「エンヤトットミュージック」やって、たくさんファンを失ってるよ。(敬称略)

(「SideB」に続く)

 50年前のこたえ 新譜に

 3月発売予定の新譜には、1969年のデビューアルバム「わたしを断罪せよ」に収録した「友よ」にこたえた楽曲「友よ、この旅を」が登場する。

 50年前「友よ夜明けは近い、輝くあしたがある」とか歌ったけど、夜が明けたってまた暮れる。いろんな経験して生きてくると、日没や夜明けを繰り返して歩いて行くのが人生やとわかってくる。この闇さえ乗り切れば、バラ色の世界が待っているというもんでもないなぁと。夜は1回だけじゃない。生きていけば夜はいっぱいある。花も咲いて散るし、がっくりくるけど、また花は咲くし。(談)

◆おかばやし・のぶやす 1946年、滋賀県近江八幡市生まれ。コロナ禍でコンサートがなくなり、散歩と畑仕事の日々を送る中で作詞・作曲を再開した。23年ぶりとなる全曲書き下ろしアルバム「復活の朝」を3月に発売予定。自らの老い、自然破壊、画一化する社会への痛烈な皮肉を込めた楽曲がそろう。

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1761155 0 乗り越えてきょう 2021/01/11 05:00:00 2021/01/11 20:38:52 2021/01/11 20:38:52 「俺の中にあるものを全部出すぞ!良い子は絶対、生き方をまねしたら駄目です」(2020年11月、亀岡市で)=山口景子撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210110-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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