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<東日本大震災10年>災害の教訓 絵図に学べ

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1896年(明治29年)の三陸地震の津波被害が描かれた錦絵「明治丙申三陸大海嘯之実況」(伝える―災害の記憶展 あいおいニッセイ同和損保所蔵災害資料)
1896年(明治29年)の三陸地震の津波被害が描かれた錦絵「明治丙申三陸大海嘯之実況」(伝える―災害の記憶展 あいおいニッセイ同和損保所蔵災害資料)

保険会社元社長 広瀬氏収集

 関東大震災で被災者対応に奔走した保険会社の営業マンが、全国の災害や疫病を伝える絵図や瓦版など約1400点に上る資料を収集していた。後に社長も務めた男性のコレクションは、戦後の損保業界の再編・統合の荒波を越えて保管され、京都文化博物館(中京区)に寄託された。東日本大震災から10年の今月、「国内最大級の貴重な災害資料群」とされる収集品の一部が、初めて一般公開される。(持丸直子)

京都文化博物館 150点20日から一般公開

 男性は大阪府出身の広瀬鉞太郎えつたろう氏(1880~1958年)。京都帝国大(現京都大)を卒業後、共同火災保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)に就職した。1923年の関東大震災で自らも被災し、惨状を目の当たりにする中、営業責任者として対応に奔走。その後は社長に就任し、合併後の同和火災海上保険の初代社長も務めた。災害資料は大正時代末期から戦前にかけて私費でコツコツと買い集めたとみられ、同社に寄贈した。

 収集品は全国各地の地震や津波、大火や洪水、火山噴火などを伝える絵図や古文書、地図、交通・保険資料など多岐にわたる。関東大震災や東北の三陸地震(1896年)をはじめ、江戸~昭和初期の天変地異や伝染病を網羅。現在の会社に受け継がれ、「あいおいニッセイ同和損保所蔵災害資料(旧同和火災コレクション)」として保管されてきたが、2018年、博物館に寄託された。調査した学芸員の有賀茜さんは「災害の種類も地域性も多様。保険を扱う者として、各地の災害を把握し、備えの大切さを伝えようと収集したのかもしれない」としている。

 博物館はこのうち約150点を選び、「伝える―災害の記憶展」(3月20日~5月16日)で公開する。大阪の「妙智焼記録」(1724年)は火災後の支援物資に関する記録で、京都の「新板京絵図」(1788年)には火災が起きた範囲を朱色で囲み、出火元の情報を書き加えた跡がある。

 江戸末期の安政の大地震後は、地底でなまずが動いて地震を起こすという民間信仰に基づく「鯰絵」などの錦絵(多色りの木版画)が大量に出版された。展示では風刺に富む鯰絵を並べ、光と影を取り入れた西洋風の版画家・小林清親が東京・両国の火災現場に駆けつけて描いたとみられる貴重な肉筆画シリーズ計13点も披露する。

 災害を独特な視点で描いた絵図も特筆で、落雷後、空から落ちてきた雷様を治療する様子や、牛由来の天然痘ワクチンへの不安を和らげて普及するために描かれた牛の絵も紹介する。

 収集品を調査した東京大学地震研究所の大邑潤三助教(地理学)は「資料からは災害や疫病で疲弊した社会が復興する様子や、民衆のたくましい姿が読み取れる。デマや誇張など災害時の情報発信のあり方を含め、今に通じる教訓がある」と話している。

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1901640 0 ニュース 2021/03/11 05:00:00 2021/03/11 05:00:00 2021/03/11 05:00:00 広瀬氏の収集品より、1896年(明治29年)の三陸地震の津波被害が即座に描かれた錦絵「明治丙申三陸大海嘯之実況」 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210310-OYTNI50062-T.jpg?type=thumbnail

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