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<京アニ放火2年>忘れない 私たちの使命

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木上さんの作品のアニメ化に向けて準備を進める本多さん(左、東京都西東京市で)
木上さんの作品のアニメ化に向けて準備を進める本多さん(左、東京都西東京市で)
絵本「小さなジャムとゴブリンのオップ」
絵本「小さなジャムとゴブリンのオップ」

幻のアニメ 元同僚ら実現へ

 伏見区の京都アニメーション放火殺人事件から2年を迎えた18日、元同僚やファン、作品ゆかりの地の人々も現場を訪れるなどして亡くなった36人を思い、あるいは静かに手を合わせた。悲しみ、悔しさ、後悔――。その人を思い出し、手がけた大切な作品に見入っては勇気をもらい、人々は今も歩き続ける。

 「ふとした時に彼を思い出し、あまりの理不尽さに悲しみがこみ上げてくる」

 京都アニメーション取締役の木上益治さん(当時61歳)と同僚だった本多敏行さん(70)はこの2年をそう振り返る。

 木上さんは1982年、東京のアニメ制作会社から独立し、本多さんらと「あにまる屋(現エクラアニマル)」を設立した。その才能は業界で高く評価され、スタジオジブリの「火垂るの墓」など多くの作品に参加。本多さんは「木上君に描けない絵はなかった」と語る。

 木上さんは「母がいる大阪に近い場所で仕事がしたい」と91年に京アニに移り、その後、京アニを海外にも知られる存在に育てた。

 退社後、連絡を取ることはほとんどなく、「いつか一緒に仕事ができると思っていたら時間が過ぎてしまった。声をかければよかった」と後悔を募らせる。

 本多さんは今、木上さんが30年前に描いた絵本「小さなジャムとゴブリンのオップ」のアニメ化に取り組んでいる。見習い魔法使いが怪物と交流して成長する物語で、当時からアニメ化を想定していたが、木上さんの退社で幻になった。

 制作には膨大な費用がかかるが、「できることからやろう」と、アニメの設計図「絵コンテ」を数十枚描いている。絵本を見ながら、「木上君ならどんな表現をしただろう」と思いをはせ、代えがたい才能をなくしたことを痛感している。

 元同僚ら10人が協力に手を挙げた。その一人、声優の佐々木るんさん(65)は、木上さんと面識はなかったが、自身の出演作に携わっていたと知り、「木上さんが生んだキャラクターに命を吹き込みたい」と話す。

 本多さんは「作品に仕上げることが木上君への『忘れてないよ』というメッセージになる。どれだけ時間がかかっても完成させるのが私たちの使命」と話した。(三味寛弥)

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2216670 0 ニュース 2021/07/19 05:00:00 2021/07/19 05:00:00 2021/07/19 05:00:00 木上さんの作品のアニメ化に向けて話し合う本多さん(左)と豊永代表(東京都西東京市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210718-OYTNI50027-T.jpg?type=thumbnail

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