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京菓子老舗 コロナ下変革

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配送に向け、木箱に詰められる鍵善良房の上生菓子(東山区で)=河村道浩撮影
配送に向け、木箱に詰められる鍵善良房の上生菓子(東山区で)=河村道浩撮影
亀屋則克の干菓子の詰め合わせ(中京区で)
亀屋則克の干菓子の詰め合わせ(中京区で)

年中行事など軒並み中止

 長引くコロナ禍の中、京菓子の老舗が、新たな試みで活路を探っている。保存が難しい上生菓子の発送のほか、各店が連携した銘菓詰め合わせのオンライン販売も展開し、伝統継承に取り組んでいる。(山口景子)

上生菓子発送/銘菓集めネット販売/SNS積極発信

 菊をモチーフに、「着せ綿」と呼ばれる桃色の上生菓子が手際よく形作られていく。祇園で創業300年超の老舗「鍵善良房」(東山区)の工房を訪ねると、職人たちが一心に腕を振るっていた。重陽の節句(9月9日)前夜に菊の花を真綿で覆い、長寿を願った風習にちなんだ一品。23日からは柿の意匠が登場し、上生菓子4種類の詰め合わせ(税込み2000円、送料別)として客の自宅へ届けている。

 繊細な意匠で、保存が難しい上生菓子の発送は、昨春の緊急事態宣言を受け、業界に先んじて始めた。「これまで考えたことがなかったが、店で反対する人はいなかった。それだけ追い詰められていたんでしょう」。15代目の今西善也さん(48)が振り返る。

 手がける上生菓子は観光客はもちろん、花街や茶会、冠婚葬祭の進物として重宝されてきた。ところが、コロナ禍で 界隈かいわい の人通りは減り、一部の店舗は臨時休業を余儀なくされた。今西さんは「景気低迷などピンチは何度もあったが、結婚式や法事、節句の行事はあった。コロナ禍で根こそぎなくなった」と話す。

 人材と材料はそろっているのに、このままでは文化や技術の継承にも影響が出かねない。状況打開の一手が、上生菓子の発送という挑戦だった。

 作業では京菓子を一つずつ専用プラスチック容器に詰め、木箱に。間には緩衝材を添える。発送に当たっては社員の自宅に宅配して形が崩れないかを確かめた。年間120種類を超える意匠から選んで届ける京菓子は、形状や材料の試行を重ねた。発送は翌日に届く地域に限定したが、京都を訪れる機会が減った首都圏の顧客の反響が特に大きく、多い日は1日50箱の注文も入るようになった。今西さんは「どんな形でも菓子作りはできる。アイデアと行動で乗り切りたい」と先を見る。

 各店が連携する動きも広がる。老舗102店でつくる京菓子協同組合の青年部は今夏、干菓子やせんべいなど銘菓を集めた「京の菓子めぐり」を百貨店のオンラインストアで販売し、反響を呼んだ。15社が参加した「上ル」「下ル」の2種類。コロナ収束後の来訪を願って店巡りマップも添えた。

 「コロナ禍をきっかけに何か変革しなければと思った」と青年部長の森田祥司さん(35)。自身も大正期創業の「亀屋則克」(中京区)の4代目として、小物入れとして再利用できるこだわりの箱に干菓子などを詰め合わせた「いろどり」(税込み1000円、送料別)を手がけ、SNSで積極的に発信している。

 各店の取り組みについて、同組合理事長の稲田慎一郎さん(59)は「戦争など様々な時代の中、京都の老舗は知恵を絞ってきた」と語る。1803年創業の鶴屋吉信(上京区)の7代目。コロナ禍の中、自宅で京菓子を楽しむ「ステイホームキャンペーン」を展開し、幅広い世代に魅力を伝えてきた。

 府内外に展開する店は、観光客が多い主要駅近くの売り上げが60~70%減になる一方、本店の減少幅はわずかにとどまった。「長年、京菓子が地域に根付いてきたからこそ」と稲田さん。「伝統を守りながら、変化をうまく取り入れてきた老舗の経験値を生かし、次の世代につなぎたい」と力を込める。

人手、資金…課題に追い打ち

 日本文化を支えてきた和菓子業界は、9割以上が従業員20人以下とされる。ニーズの多様化に加え、担い手不足や資金力といった課題に、コロナ禍が追い打ちをかけている。

 総務省の家計調査では、 羊羹ようかん の年間購入金額は2000年の1126円が19年は674円、 饅頭まんじゅう は2064円が1092円、他の和生菓子は9504円が8897円に減少。コロナ禍前は国内外の観光客でにぎわった京都市の担当者も「ばらつきが大きいが、全体的には右肩下がりと認識している」と現状をとらえる。一方、全国和菓子協会は、和菓子について、年中行事や人生儀礼と結びつきがあり、「日本人の季節の移り変わりを待つ心に寄り添えるのが強み」とする。 あん には良質なたんぱく質やビタミン類が豊富に含まれるなど、健康性もアピール材料になるとしている。

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使い方
2394198 0 ニュース 2021/09/26 05:00:00 2021/09/28 10:19:51 2021/09/28 10:19:51 木箱に詰められる「秋の和菓子」(京都市東山区の「鍵善良房」で)=河村道浩撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210925-OYTNI50025-T-e1632791710150.jpg?type=thumbnail

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