豪華なキャンプ「グランピング」、相次ぎ開業・・・初期投資少なく、異業種も参入
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手軽に豪華なキャンプが楽しめるグランピング施設が相次いで開業している。新型コロナウイルスの感染拡大でアウトドアの人気が高まり、リゾート感覚で大自然を感じられるのが特徴だ。初期投資を抑えて宿泊施設を開業できるメリットがあり、異業種からの参入も目立っている。(松本晋太郎、橋本龍二)
フランス料理
福岡市東区の海の中道海浜公園に3月オープンしたグランピング施設「イン・ザ・パーク福岡」は週末の9日、多くの家族連れでにぎわっていた。

博多湾を望む芝生広場に直径6メートルの球体テントが13棟並ぶ。1棟ごとにベッドや冷蔵庫、冷暖房を完備し、定員は大人3人。夕食は地元産の食材を使ったフランス料理やバーベキューが食べられる。客室はテントなど4タイプの計30室あり、繁忙期を除いて料金は1泊2食付きで1人1万5000~3万6000円だ。
福岡市中心部から車で約30分の立地も売りで、家族5人で泊まった山口県下関市の尾下豪人さん(44)は「感染拡大で旅行に行けなかったので、グランピングで特別な気分を味わいたい」と話していた。
国営公園の利用促進に向け、九州地方整備局が事業を公募し、三菱地所や積水ハウスなどが手がけた。ロープや丸太などを組み合わせた障害物を通過する高さ17メートルのアスレチック施設も備え、年間12万人の利用を目指す。三菱地所の担当者は「自然環境を壊さずに整備でき、公園に宿泊する非日常を楽しめる」と話す。
ペットと一緒に
グランピングは「グラマラス(魅力的な)」と「キャンピング」を合わせた造語で、国内では2015年頃から広がり始めた。1泊1人3万円前後の施設が多く、コロナ禍で海外旅行に行けず、優雅に近場の旅行を楽しみたいというニーズも取り込んでいる。
最大の特徴は、手軽さと充実した設備だ。テントを張る手間がいらず、悪天候でもレストランや客室で食事できる。バーベキューも火おこしから後片付けまで全て施設任せ。ペット愛好家にも支持されている。
全国グランピング協会によると、全国で現在約440か所あり、この2年で150か所以上増えた。22年は200か所以上が開業する予定で、市場規模は23年に1000億円を超える見込みだ。長崎大の深見聡准教授(観光学)は「旅行の主体が団体から少数グループに変わり、必要最低限の接客を求める時代に合っている」とみる。
温泉付き
ただ施設の急増で競争が激しくなり、地域の特色を生かした差別化を図る動きも出ている。
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