[業を継ぐ]薬局業界再編の波 経営苦境 高齢化や大手チェーン進出

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訪問診療など転換迫られる

 調剤薬局の事業承継が増加している。経営者の高齢化や地方の薬剤師不足に加え、制度が変わり、病院近くに店を構えるだけでは経営が立ち行かなくなる懸念が強まっているからだ。大手チェーンとの競争も激しくなっており、再編が進むとみられている。(姫野陽平)

夢かなう

地元の薬局を事業承継し、「地域のニーズに対応していきたい」と話す塩瀬さん(4月22日、山口県下関市で)
地元の薬局を事業承継し、「地域のニーズに対応していきたい」と話す塩瀬さん(4月22日、山口県下関市で)

 「地元で自分の薬局を持てて夢がかなった」

 山口県下関市の病院に隣接した老舗薬局「健和薬局」のオーナー、塩瀬真央さん(32)は顔をほころばせた。29歳の若さで事業を承継し、経営は軌道に乗り始めた。「若いのによく頑張っているね」。顔なじみの患者も増え、声をかけられるようになった。

 健和薬局は3年前、運営責任者の高齢化に伴い、オーナーが引き継ぎ先を探していた。下関市出身で薬剤師の塩瀬さんは福岡市で薬局チェーンに勤め、独立開業を目指していた。薬局の経営支援を手がけるCBホールディングス(HD、東京)の仲介で「縁談」が成立。塩瀬さんは「人脈がなく不安はあったが、経験で培ったノウハウが生かせると考えた」と振り返る。

 店舗の設備や薬の在庫、従業員を引き継いだ。一から開業するより費用や時間を節約でき、一定の患者が見込めるため融資も受けやすい。患者宅や介護施設の訪問診療を新たに始め、2020年8月には神奈川県内の店舗を買い取った。売上高は1億5000万円に増え、「在宅診療を充実させ、長く続けられる体制にしたい」と意気込む。

2年で300件

 鹿児島県内の60歳代男性は今年4月、身近な後継者が見つからず、約40年にわたって経営してきた薬局を大手チェーンに譲った。男性は「頼りにしてくれる患者がいるので閉めるわけにはいかない」といい、「オンライン診療など新しい時代への対応が必要だ。肩の荷が下りた」と 安堵あんど の表情を浮かべた。

 薬局の事業承継は年々増えている。CBHDの仲介件数は13~18年度の6年で450件だったが、19~20年度の2年で300件に上った。背景の一つが、薬局と病院の経営を分離する「医薬分業」が本格化して約30年がたち、経営者が高齢化したことがある。地方の薬剤師不足も深刻で、厚生労働省によると、人口10万人あたりの薬剤師は20年末時点で、九州・山口では福岡、佐賀、山口の3県を除き全国平均を下回る。

 受け皿となっているのが大手チェーンだ。薬価の引き下げを受け、規模拡大で収益を上げる狙いだ。

 全国約750店舗の薬局を展開する総合メディカル(福岡市)は21年に合併・買収(M&A)で約20店を取得した。「グループに約3000人の薬剤師がおり、研修制度も充実している。地方でもニーズに応えられる」と、さらに拡大を図る考えだ。クオールHD(東京)は21年7月、鹿児島県と宮崎県の薬局8店を取得した。大手チェーンの陣取り合戦が地方に広がっており、総合メディカルは「地方でも激しい競争になっている」と明かす。

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