読売新聞オンライン

メニュー

[道あり]アイ・ケイ・ケイ 金子和斗志さん <3>酒店を回り予約獲得

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

伊万里グランドホテルの起工式でくわ入れする金子会長(アイ・ケイ・ケイ提供)
伊万里グランドホテルの起工式でくわ入れする金子会長(アイ・ケイ・ケイ提供)

 「ホテルをつぶすわけにはいかない」。実家のビジネスホテルは増築オープンを控え、予約が入らない危機に直面していた。

 すぐに行動に移した。出張客を取り込むため、佐賀県伊万里市の誘致企業約20社に日本酒を持って飛び込み営業した。伊万里駅前には立て看板を置いた。次第に成果は表れ、無事オープンを迎えた。

 数年後、売り上げは順調に伸びていた。「5億円投資したい」。社長の父勘三さんが新たなホテルの建設を提案した。近くに大型ホテルの進出計画が浮上していた。当時の売り上げは年間5000万円。「今のままでは融資の返済は難しい」。説得しても父は譲らない。

 家族で話し合いが続き、母の一言で方向性が決まった。「それなら結婚式をしたらいい」。団塊世代が適齢期を迎えていた。地方でもホテルでの挙式が増えていた。父から社長を継ぎ、「伊万里で一番の結婚式場にする」と決意した。が、直後に不幸が訪れる。交通事故で約1か月入院した。3年前に続き2度目の事故。心配した両親は「ホテル建設はやめよう」と言い出した。

 堕落した10代から改心し、ホテル経営にかけていた。「これでやめれば人生が終わる」と目の前が真っ暗になった。「全責任を取る」。覚悟を決めた言葉に両親は背中を押してくれた。

 結婚を控えたカップルをいかに効率的に探すか。結納で酒を注文する習慣に目を付けた。「焼酎ください」。客として酒店を回り、「近くに結婚する人いませんか」と切り出す。「あの家から結納で酒を頼まれている」。情報を聞き出すと、その足で自宅を訪ね、「人生最高の感動的な式を創り上げます」と営業をかけた。

 酒店のフォローも忘れなかった。挙式の予約につながれば、その酒店に披露宴の酒を定価で発注した。「酒屋さんの方から連絡してくれるようになった」と笑う。戦略的な「どぶ板営業」で、式場を備えた「伊万里グランドホテル」の開業までに、予約件数は目標の50件を超えていた。

=2021年2月11日 読売新聞地域面(西部本社版)掲載=

無断転載・複製を禁じます
2151846 0 道あり 2021/06/24 05:03:00 2021/06/24 05:03:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210623-OYTAI50021-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)